2023年03月17日
2023年 第10週
(令和5年3月6日~令和5年3月12日)
【今週の注目疾患】
■A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎
2023 年第 10 週の A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の県内定点当たり報告数は 0.39(人)であった。
本疾患は季節変動性があり、例年冬から春にかけて増加する特徴が見られるが、2021 年以降明らかなピークを形成せず、患者報告数が減少した状況が続いている。
現状として警報開始基準値(定点当たり報告数 8.0(人))を大きく下回っているが、地域によっては長生保健所管内(3.3(人))などで増加傾向がみられており、今後の発生動向に注意をはらう必要がある。
2023 年第 1 週から第 10 週までに県内小児科定点医療機関から報告のあった A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の報告数は 443 例であった。
年齢群別では、5-9 歳が最も多く 208 例(47%)であり、次いで 0-4 歳 114 例(25%)、10-14 歳 86 例(19%)であった。
A 群溶血性レンサ球菌は、上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌としてよくみられるグラム陽性菌で、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こす 1)。
A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎はいずれの年齢でも起こり得るが、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な臨床像を呈する症例は少ない。
本疾患は通常、患者との接触を介して伝播するため、ヒトとヒトとの接触の機会が増加するときに起こりやすく、家庭、学校などの集団での感染も多い。
感染性は急性期にもっとも強く、その後徐々に減弱する 1)。
潜伏期は 2〜5 日であり、突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛によって発症し、しばしば嘔吐を伴う。
咽頭壁は浮腫状で扁桃は浸出を伴い、軟口蓋の小点状出血あるいは苺舌がみられることがある。
予防としては、患者との濃厚接触をさけること、うがい、手洗いなどの基本的な感染対策が有効である 1)。
■インフルエンザ
2023 年第 10 週の県全体のインフルエンザ定点当たり報告数は 8.60(人)となり、前週(2023年第 9 週)8.51(人)から増加した。
保健所管内別では船橋市 15.88(人)、君津 14.92(人)、習志野 13.25(人)、松戸 10.58(人)で定点当たり報告数 10.0(人)を超えていた。
2023 年第 10 週に報告のあった 1814 例のうち、A 型 1559 例(86%)、B 型 29 例(1.6%)、型非鑑別キットで陽性 44 例(2.4%)、検査未実施(検査実施未確認例含む)182 例(10%)であり、A 型が多かった。
2023 年第 9 週時点で全国の定点当たり報告数は 10.17(人)であった。
近隣都県の定点当たり報告数は、埼玉県 10.63(人)、東京都 8.34(人)、神奈川県 11.35(人)であった。
引き続き、インフルエンザの予防対策を徹底していただきたい。
千葉県:インフルエンザから身を守ろう
>>詳細はこちら
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年3月15日更新)