2022年12月23日
2022年 第 50 週(2022/12/12~2022/12/18)
【今週の注目疾患】
■インフルエンザ
県全体のインフルエンザ定点当たり報告数は 7 週連続で増加しており、2022 年第 50 週は 0.55(人)であった。
全保健所管内では依然として定点当たり報告数 1.0(人)を下回っているが、松戸保健所管内では 2.13(人)であった。
2022 年第 50 週に報告のあった 113 例のうち、A型 83 例(73.5%)、B 型 5 例(4.4%)、型非鑑別キットで陽性 19 例(16.8%)、検査未実施(検査実施未確認例含む)6 例(5.3%)であり、A 型が多かった。
インフルエンザの予防には、ワクチン接種のほか、基本的な感染対策も重要となる。
外出後の手洗い、適度な湿度の保持、こまめな換気などを徹底されたい 1)。
■鳥インフルエンザ(H5N1)
2022 年 11 月に 2022/23 シーズン県内 1 例目となる高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)である鳥インフルエンザ A(H5N1)の鳥類患畜が報告された。
2022 年 12 月 16 日現在、日本では家きんにおける事例発生報告が 37 例あり、2021/22 シーズン 12 月末日時点の累積報告数 10 例と比較して既に 3 倍以上となっている。
37 例のうち34 例で亜型が A(H5N1)であったことが判明しており 2)、昨シーズンと同様に A(H5N1)が主流な型となっている。
現時点で国内における人への感染例は報告されていないが、事例発生報告数の増加は人への感染リスクを高める可能性がある。
今後鳥インフルエンザの流行シーズンを迎えるにあたり、特に鳥類と密な接触機会がある者は、十分注意する必要がある。
国際獣疫事務局(OIE)によると、2022 年 11 月 11 日から 12 月 1 日までに、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの地域で高病原性鳥インフルエンザ A(H5N1)の発生が報告された。
これらの地域においては、多くの国で昨年の同時期と比較して報告数が多くなっている 3)。
また、世界保健機関(WHO)によると、2003 年から 2022 年 10 月 21 日までに世界 21 か国で456 例の死亡例を含む 868 例の高病原性鳥インフルエンザ A(H5N1)の人感染例が報告されている。
最近ではスペインから 2 例の事例が報告された。
2 例ともに高病原性鳥インフルエンザ A(H5N1)の鳥類患畜が確認された農場に関わる労働者であり、症状はなかった 4)。
鳥インフルエンザ A(H5N1)は A 型インフルエンザウイルスを病原体とする。
潜伏期間は概ね 2~8 日であり、初期症状の多くが高熱と急性呼吸器症状を主とするインフルエンザ様疾患の症状を呈する。
人は感染した家きん等の鳥類やその排せつ物、死体、臓器等と濃厚接触した場合にまれに感染する。
これまでのところ、人から人への持続的な感染は確認されていない 5)。
現時点で認可されているワクチンはない。
日常生活においては、野鳥など野生動物の排泄物に触れた場合には、手洗い・うがいをすることが基本的な予防対策となる。
また、野鳥やその死体は体内や羽毛などに細菌や寄生虫などの病原体を持っていることがあるため、素手で触らないようにすることが重要である 6)。
なお、鳥インフルエンザが発生した場合でも家畜伝染病予防法により感染が確認された鶏の肉や卵が市場に出回ることはない。
また、内閣府食品安全委員会は万が一鶏肉・鶏卵に鳥インフルエンザウイルスが存在したとしても、熱や酸に弱いことから、十分な加熱調理や胃酸などの消化液により死滅するため、鶏肉・鶏卵を食べることにより感染することはないという考えを示している 2)。
■参考
1) 厚生労働省:令和4年度インフルエンザ Q&A
>>詳細はこちら
2)農林水産省:鳥インフルエンザに関する情報
>>詳細はこちら
3) OIE:High Pathogenicity Avian Influenza (HPAI)- Situation Report 36
>>詳細はこちら
4) WHO:Avian Influenza A (H5N1) - Spain
>>詳細はこちら
5) 厚生労働省:鳥インフルエンザについて
>>詳細はこちら
6)千葉県:野鳥における鳥インフルエンザについて
>>詳細はこちら
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年12月21日更新)