2020年08月21日

今週の注目疾患   2020年 33週(2020/8/10~2020/8/16)
【今週の注目疾患】

【ダニ媒介感染症;日本紅斑熱とつつが虫病】
 2020年第33週に日本紅斑熱の届出が1例あり、2020年の累計は6例となった。
なお、当該症例については2020年8月15日に本県健康福祉部疾病対策課が死亡症例として概要を発表している。
県内における日本紅斑熱は主に4月から10月にかけて、房総半島南部の地域で認められている。
一方、同じダニ媒介感染症であるつつが虫病は、9月以降、特に11、12月に多くの発生を認めている。
つつが虫病も房総半島南部地域での発生が多いが、日本紅斑熱と異なり北総や東葛地域でも発生が見られ、また国外を推定感染地域とする症例も認める。
両疾患はともに発熱、ダニの刺し口、発疹を主要三徴候とし、その他頭痛や倦怠感といった症状、CRPの上昇や肝酵素(AST、ALT)の上昇といった検査所見が見られることが多い。
つつが虫病の潜伏期間は5~14日程度で、疑わしい患者においてはその間の行動歴の聞き取りが参考となり、また、つつが虫病はアジアに広く存在しているため、輸入感染症として探知されうることにも注意が必要である。
日本紅斑熱は、潜伏期間がつつが虫病に比べてやや短く(2~8日)、発疹は四肢から体幹に広がり、刺し口は小さいなどの臨床的な差はあるが、確実な鑑別には実験室診断が必須であり、両疾患の発生が重なる晩夏~初秋にかけては重要となる。
つつが虫病と同様、疑わしい患者においては潜伏期間を考慮した行動歴の聞き取りが参考となる。
 両疾患とも治療の第一選択薬はテトラサイクリン系の抗菌薬であり、日本紅斑熱においてはニューキノロン系抗菌薬が有効であるとの報告もあるが、つつが虫病には無効である。
適切な抗菌薬の投与により治療可能だが、治療が遅れると重症化し死亡することもある。
類似症状を呈した場合は、速やかに医療機関を受診することも重要である。
 予防には、病原体を保有するマダニ、つつが虫に刺されないことが第一であり、農作業や山野などに入るときには皮膚を露出しないように長袖・長ズボンを着用し、忌避剤の適切な利用や、帰宅後の入浴・衣類の着替えといったことが推奨される。

参考・引用
県疾病対策課 【日本紅斑熱】感染症予防のための情報提供について(令和2年8月15日発表)
 >>詳細はこちら
国立感染症研究所 日本紅斑熱とは
 >>詳細はこちら


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和2(2020)年8月19日更新)