2017年08月18日

今週の注目疾患   平成29年・32週(8月7日~8月13日)

【麻しん】
夏季休暇で海外に渡航する旅行者の増加に伴い、麻しんの輸入例発生に注意する必要がある。
旅行先として渡航者の多いアジアの国々には麻しんの発生がいまだ多くみられる国が多く、また現在はヨーロッパで麻しんの流行が報告されている。
2015 年 3 月に日本は麻しん排除の認定を受け、現在は国内に麻しんウイルスは定着していないが、排除認定以降も輸入例およびそれを発端とした国内感染例が認められている。
2017 年は第 31週までに全国で 169 例の麻しんが報告されており、うち 30 例の推定感染地域が「国外」もしくは「国内または国外」となっており、その推定感染地域はインドネシア(14 例)、イタリア(2 例)、タイまたは国内(2 例)等である(表 1)。アジア地域からの輸入例の他、夏季は長期休暇による遠方への旅行も増えるため、現在麻しんの流行が報告されているヨーロッパにおける発生状況について記す。
欧州疾病対策センター(European Centre for Disease Prevention and Control;ECDC)によると、2017 年は現在までにラトビア、リヒテンシュタイン、マルタおよびノルウェーを除くEU/EEA 内のすべての国・地域から麻しんの報告があり、ルーマニアでは 6,486 例(8 月 4 日現在)、イタリア 4,087 例(8 月 8 日現在)、ドイツ 818 例(8 月 9 日現在)、フランス 387 例(7 月31 日現在)、ブルガリア 166 例(7 月 16 日現在)、スペイン 145 例(7 月 25 日現在)の報告があったとしている。
新規症例やアウトブレイクの報告を認め、引き続き注意が必要な状況である。
イギリス(イングランドとウェールズ)では 962 例の麻しん疑い例(医師による臨床的評価)が報告され、92 例が麻しんと確定されている。
死亡例はルーマニア 20 例、イタリア 3 例、ブルガリア、ドイツ、ポルトガルおよびフランスからそれぞれ 1 例が報告されている。
麻しんの予防には 2 回の麻しん含有ワクチンの接種が最も効果的である。また仮に帰国後 2 週間以内に発熱・発疹症状等の麻しんが疑われる症状が出現した場合は、医
療機関での二次感染発生を防止するためにも、必ず事前に医療機関に電話連絡をした上で、指示に従い受診することが必要である。
イタリアにおける麻しんでは 6.8%(277例)が医療従事者の症例であり、医療従事者の麻しんに対する備えも同様に重要である。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成29年8月16日更新)