2022年08月26日
2022年 第 33 週(2022/8/15~2022/8/21)
【今週の注目疾患】
■インフルエンザ
2022 年第 33 週に県内小児科・インフルエンザ定点医療機関より報告された定点当たりの報告数は 0.02(人)(患者報告数 5 例)であった。
保健所管内別では市川 0.14(人)(患者報告数 2 例)、松戸 0.08(人)(患者報告数 2 例)、習志野 0.06(人)(患者報告数 1 例)であった。
亜型別ではA 型が 4 例、A or B 型が 1 例であった。
依然として流行開始の目安としている指標(定点当たりの報告数 1.0(人))を大きく下回っているものの、第 28 週以降患者が継続して報告されている。
西日本では第 28 週以降、定点当たりの報告数が 0.1(人)を超える地域もあり、近隣都県でも患者が報告され始めている。
日本感染症学会は 2022/23 シーズンのインフルエンザ流行を懸念しており 1)、今後の発生動向に注意が必要である。
2021/22 シーズン(2021 年第 36 週から 2022 年第 33 週まで)に県内小児科・インフルエンザ定点医療機関より報告されたインフルエンザ症例数の累計は 71 例であった。
年齢群別では、0~4歳が 17 例(23.9%)で最も多く、次いで 20~29 歳が 13 例(18.3%)、5~9 歳が 12 例(16.9%)であった。
定点医療機関の協力による迅速診断結果については、67 例中 A 型 47 例(70.1%)、B型 16 例(23.9%)、A and B 型 2 例(3.0%)、A or B型 2 例(3.0%)であった。
インフルエンザはインフルエンザウイルスを病原体とする気道感染症である。
インフルエンザウイルスに感染してから、1~3 日間ほどの潜伏期間を経て、発熱(通常 38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現れ、咳、鼻水などの上気道炎症状がこれに続く。
高齢者や年齢を問わず呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患を持つ患者、糖尿病などの代謝疾患、免疫機能が低下している患者では、原疾患の増悪とともに、呼吸器に二次的な細菌感染症を起こしやすくなることが知られており、入院や死亡の危険が増加する。
小児では中耳炎の合併、熱性けいれんや気管支喘息を誘発することもある。
また、原因は不明であるが、小児において急激に悪化する急性脳症が増加することも明らかとなっている 2)。
日本感染症学会は 2022/23 シーズンは、インフルエンザ流行の可能性が大きいとしている 1)。
北半球の冬季のインフルエンザ流行を予測する上で、南半球の状況は参考になると言われている。
2020 年、2021 年は南半球(オーストラリア等)でも流行は見られなかったが、2022 年 4 月以降に大規模な流行があった 3)。
また、直近の WHO(世界保健機関)の報告によると、北半球においても東南アジアや東アジアの一部で A(H3N2)の流行が見られており4)、今後、国内外の人的交流が増加すれば、日本においても今年の秋から冬にかけて同様の流行が起こる可能性がある。
また、国内で新型コロナウイルス感染症の流行が始まった 2020 年 2 月以降、2020/21 シーズン、2021/22 シーズンは国内での流行がなかったために、社会全体のインフルエンザに対する集団免疫が低下していると考えられる。
そのため、一旦感染がおこると、特に小児を中心に社会全体として大きな流行となるおそれがある。
欧米や東アジアでは A(H3N2)が多く検出されていることから、日本においても A(H3N2)主体の流行が予測されている 1)。
日本感染症学会は、接種できない理由のある方以外には、小児や妊婦も含めてインフルエンザワクチン接種を推奨している。
今季に流行が予測されている A(H3N2)に対するワクチンの発症予防効果は未知であるが、発症してもワクチンによる一定の重症化防止効果は期待でき、65 歳以上の高齢者において A(H3N2)感染による入院防止率は 37%であったという報告もある 1)。
そのほか、インフルエンザの予防は、新型コロナウイルス感染症と同様に、流行期には人込みを避けることや、手洗い・マスク・咳エチケット等の基本的な感染症対策も重要となる。
■手足口病
警報発令継続中(警報開始基準値 5.0 終息基準値 2.0)
2022 年第 33 週手足口病定点当たり報告数 県全体 3.53 (人) 前週 4.44(人)から減少
第 27 週に警報開始基準値である定点当たり報告数5.0(人)を上回って以降、県内では警報発令状況が続いており、感染予防として手洗いの励行等が重要である。
■参考
1)一般社団法人日本感染症学会:2022-2023 年シーズンのインフルエンザ対策について
(一般の方々へ・医療機関の方々へ)
>>詳細はこちら
>>詳細はこちら
2)国立感染症研究所:インフルエンザとは
>>詳細はこちら
3) Australian Government Department of Health. Australian influenza surveillance report No. 07, 2022.
>>詳細はこちら
4) WHO:Global Influenza Update
>>詳細はこちら
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年8月24日更新)