2019年08月16日
今週の注目疾患 令和元年・第 32 週(2019/8/5~2019/8/11)
【RS ウイルス感染症】
2019 年第 32 週に県内定点医療機関から報告された RS ウイルス感染症の定点当たり報告数は、定点当たり 1.72(人)であった。
県レベルでの定点当たり報告数は、昨年及び一昨年とほぼ同時期に立ち上がりを示し、第 32 週時点の報告数は過去同時期と比較して多い。
ただし、保健所管内によって報告に差があり、流行の程度は地域によって異なると考えられる。
夏休みやお盆によって人の移動も活発になっており、今後の発生動向に注意が必要である。
RSウイルス感染症は、乳幼児に多く認め、生後1歳までに半数以上が、2歳までにはほぼ100%の人がRSウイルスの初感染を受けるとされている。
症状は軽い風邪様症状から重症の肺炎までと幅広いが、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)に初感染した場合は、細気管支炎や肺炎といった症状を引き起こし重症化することがある。
年長児や健常成人においても再感染による顕性感染を認めるが重症化することは少ない。
ただし、高齢者の介護施設等での集団発生の報告は多く、慢性呼吸器疾患や心疾患等の基礎疾患を有する高齢者においては重症化のリスクがあり注意が必要である。
報告される患者年齢については、小児科定点把握疾患であること、検査診断において抗原の検出による迅速検査は乳児(1歳未満)や入院中の患者等が公的医療保険の適用範囲となっていること等の影響も考慮する必要がある。
RSウイルスの感染経路は咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、ウイルスの付着した手指や物品等を介した接触感染が主なものである。
飛沫感染対策としてのマスク着用や咳エチケット、接触感染対策としての手洗いや手指衛生といった基本的な対策を徹底することが求められる。
なお、RS ウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制のため、早産児、気管支肺異形成症や先天性心疾患等を持つハイリスク児を対象に、RSウイルス感染の重症化予防のため、ヒト化抗RSV-F蛋白単クローン抗体であるパリビズマブの公的医療保険の適用が認められている。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和元年8月14日更新)