2023年01月06日

2022年 第 52 週(2022/12/26~2023/1/1)

【今週の注目疾患】
■梅毒
 2022 年第 1 週から第 52 週までに県内医療機関から届出のあった梅毒の年間累積届出数は 330例であった。
2022 年は 1999 年の現行感染症サーベイランス開始以降、初めて梅毒の年間累積届出数が 300 例を超えた。
梅毒は 2 年連続で過去最多を更新し、増加傾向が継続している。

 2022 年第 52 週までに県内医療機関より届出のあった梅毒 330 例のうち、性別では男性 228 例(69%)、女性 102 例(31%)であり、男性が多かった。
年代別では、男性は 40 代 70 例(31%)、30 代 56 例(25%)が多く、次いで 20 代 47 例(21%)であった。
女性では 20 代が 57 例(56%)で 5 割以上を占めた。
2022 年は現時点で、先天梅毒の症例は報告されていないが 3 例の妊娠症例が報告されている。
 病型別では男性では早期顕症梅毒第Ⅰ期(以下、第Ⅰ期)が 138 例(61%)と 6 割以上を占めていた。
女性では早期顕症梅毒第Ⅱ期(以下、第Ⅱ期)が 53 例(52%)と最も多く、比較的早期の報告である第Ⅰ期は 23 例(23%)にとどまった。
特に女性の 10 代においては無症候期(無症状病原体保有者)もしくは第Ⅱ期の報告のみであり、第Ⅰ期の報告はなかった。

 梅毒は、梅毒トレポネーマを原因とする細菌感染症である。
主な感染経路は菌を排出している感染者との性器や肛門、口腔などの粘膜の接触を伴う性行為や疑似性行為によるものである。
予防としては、感染者との性行為や疑似性行為を避けることが基本となる。
コンドームが覆わない部分の皮膚などでも感染がおこる可能性があるため、コンドームの使用は完全ではないものの予防効果があることが示唆されている 1,2)。
早期発見・早期治療が重要である。
再感染を予防するため、パートナーもともに検査を受けることが推奨される。
県では保健所において無料・匿名の検査を実施しているとともに、(公財)ちば県民保健予防財団への委託による検査を実施している。
受検を希望する方は活用されたい。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行状況に伴い変更される場合もあるので、最新の検査実施状況については、県ホームページ等でご確認いただきたい 3)。

■インフルエンザ
 2022 年第 52 週の県全体のインフルエンザ定点当たり報告数は前週(2022 年第 51 週)の 1.12(人)から増加し、2.58(人)であった。
保健所管内別では松戸 6.11(人)、長生 5.00(人)、市原 4.55(人)が多かった。
 2022 年第 52 週に報告のあった 429 例のうち、A 型 308 例(72%)、B 型 2 例(0.4%)、型非鑑別キットで陽性 84 例(19.6%)、検査未実施(検査実施未確認例含む)35 例(8%)であり、A 型が多かった。
年齢群別では、20 代が 84 例(19.6%)で最も多く、次いで 15~19 歳が 76 例(17.7%)、5~9 歳が 65 例(15.2%)であった。

 インフルエンザの予防には、ワクチン接種が有効である。
しかし、インフルエンザワクチンは重症化予防や発症をある程度抑える効果が期待できるが、発病を必ずしも防ぐわけではないことから、基本的な感染対策の徹底も重要となる 4)。
・基本的な感染対策
1 外出後の手洗い
2 適度な湿度の保持
3 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
4 人混みや繁華街への外出を控える
5 室内ではこまめに換気する

■参考
1)国立感染症研究所:梅毒とは
>>詳細はこちら
2)厚生労働省:梅毒に関する Q&A
>>詳細はこちら
3)千葉県:千葉県内のエイズ等相談・検査
>>詳細はこちら
4)厚生労働省:令和4年度インフルエンザ Q&A
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年1月5日更新)