2020年10月02日
今週の注目疾患 2020年 39週(2020/9/21~2020/9/27)
【今週の注目疾患】
【腸管出血性大腸菌感染症】
2020 年第 39 週に、県内医療機関から 8 例の腸管出血性大腸菌感染症の届出があり、2020年の累計は 88 例となった。
直近数週にわたり、過去同時期と比較して多くの届出を認めており、引き続き注意が必要である。
腸管出血性大腸菌感染症の症状は多様であり、無症状の場合もあれば、時に溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)を続発して致命的となるなど様々な病態をとりうる。
典型例では3~5 日の潜伏期をおいて、激しい腹痛を伴う頻回の水様便の後に血便がでる。
また37~38℃台の熱や嘔吐を伴うこともある。
HUS、または脳症などの重症な合併症を発生することがあり、HUS を発症した患者の致命率は1~5%とされている。
第39週までに届け出られた88例のO血清型・VT産生型の内訳は、
・O157・VT1(2例)、O157・VT2(19例)、O157・VT1VT2(35例)、O157・VT不明(1例)
・O26・VT1(8例)
・O103・VT1(5例)
・O111・VT1(2例)、O111・VT1VT2(1例)
・O115・VT不明(1例)
・O145・VT2(1例)
・O不明・VT1(6例)、O不明・VT2(4例)、O不明・VT1VT2(2例)、O不明・VT不明(1例)
となっている。
O157・VT1VT2による症例が第31週以降継続して届け出られており、第36週以降に限れば届出のおよそ9割を占めており、動向に注意が必要である。
一般的に腸管出血性大腸菌はVT2 産生株(VT1VT2 もしくはVT2)は、VT1 単独産生株と比較し、患者(有症者)として届け出られる割合や血便を呈する患者の割合も高い。
腸管出血性大腸菌は少数の菌数で感染が成立するため、手洗いの励行といった基本的な衛生対策、食品の調理時における野菜類の十分な洗浄、肉類の十分な加熱や既知の感染リスクである生肉の喫食を避ける、調理器具類の洗浄、殺菌など交差汚染に対する注意が腸管出血性大腸菌感染症の感染予防に重要である。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和2(2020)年9月30日更新)