2023年02月24日
2023年 第7週
(令和5年2月13日~令和5年2月19日)
【今週の注目疾患】
■後天性免疫不全症候群
2023 年第 7 週に県内医療機関から後天性免疫不全症候群(Acquired immunodeficiencysyndrome:AIDS)の届出が 3 例あり、2023 年は合計8 例となった。
8 例のうち性別では男性が 6例(75%)、女性が 2 例(25%)であった。
病型別では初回報告時に AIDS 指標疾患が認められAIDS と診断された症例(以下、AIDS 患者という)が最も多く 4 例(50%)、無症候性キャリアが 2 例(25%)、その他(AIDS 指標疾患以外の症状有)が 2 例(25%)であった。
2013 年第 1 週から 2023 年第 7 週までの後天性免疫不全症候群累計報告数は 476 例であった。
性別では男性 426 例(426/476,89%)、女性 50 例(50/476,11%)であり、約 9 割が男性であった。
年代別では男女ともに 40 代が最も多く、男性 117 例(117/426,27%)、女性 18 例(18/50,36%)であった。
次いで 30 代が多く、男性 111 例(111/426,26%)、女性 12 例(12/50,24%)であった。
国籍別では、男女ともに日本国籍が最も多く、男性は 376 例(376/426,88%)、女性は 28 例(28/50,56%)であった。
病型別では、男性では無症候性キャリアが最も多く 237 例(237/426,56%)、AIDS 患者が 154 例(154/426,36%)、その他(急性 HIV 感染症)が 15 例(15/426,3%)、その他(AIDS 指標疾患以外の症状有や詳細不明)が 20 例(20/426,5%)であった。
一方、女性では AIDS患者の割合が最も多く 27 例(27/50,54%)、無症候性キャリアが 20 例(20/50,40%)、その他(AIDS指標疾患以外の症状有)が 2 例(2/50,4%)、その他(急性 HIV 感染症)が 1 例(1/50,2%)であった。
累計報告数は、近年減少傾向がみられている。
一方、後天性免疫不全症候群の報告数全体に占める AIDS 患者報告数の割合は、2019 年は 27%であったが、2020 年から 2022 年まで増加傾向が続いている。
AIDS はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染によって生じ、適切な治療が施されないと重篤な全身性免疫不全により日和見感染症や悪性腫瘍を引き起こす状態をいう。
HIV の主な感染経路は、①性的接触、②母子感染(経胎盤、経産道、経母乳感染)、③血液によるもの(輸血、麻薬・薬物の静脈注射など)がある。
血液や体液を介する接触がない限り、日常生活では HIV に感染する可能性は低い 1)。
性行為による感染は最も多く、HIV は感染者の血液・精液・膣分泌液から、性器や肛門、口などの粘膜や傷口を通って感染する。
感染を予防するワクチンはなく、性行為におけるコンドームの正しい使用や血液が付着する可能性のある器具を共有しないことなどが重要となる 2)。
近年では、治療法の進歩により、HIV 感染を早期に発見し、治療を開始すれば、AIDS の発症を防ぐことができ、感染前とほとんど変わらない生活を送ることが期待できるようになっている。
また、治療を継続して体内のウイルス量が減少すれば、HIV に感染している人から他の人への感染リスクが大きく低下することも確認されている 3)。
県では保健所において無料・匿名の検査を実施している。
また、(公財)ちば県民保健予防財団への委託による検査も実施している。
居住地に関係なく、どの保健所でも受検することができる。
希望する方は活用されたい。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行状況に伴い、変更される場合もあるので、最新の検査実施状況については、県ホームページ等でご確認いただきたい 4)。
■インフルエンザ
2023 年第 7 週の県全体のインフルエンザ定点当たり報告数は、前週(2023 年第 6 週)の 9.50(人)から増加して 10.33(人)となり、国が定める注意報基準値 10.0(人)を再び超えた(前回:2023 年第 5 週 10.45(人))。
保健所管内別では船橋市 21.76(人)、松戸 18.83(人)、君津13.15(人)、香取 12.17(人)、印旛 11.92(人)、習志野 11.44(人)が多かった。
引き続き、インフルエンザの予防対策を徹底していただきたい。
千葉県:インフルエンザから身を守ろう
>>詳細はこちら
■参考
1)国立感染症研究所:AIDS(後天性免疫不全症候群)とは
>>詳細はこちら
2)公益財団法人エイズ予防財団:エイズ予防情報ネット(エイズ Q&A)
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3)千葉県:HIV 感染者・エイズ患者の報告状況について
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4) 千葉県:千葉県内のエイズ等相談・検査
>>詳細はこちら
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年2月22日更新)