2020年03月06日

今週の注目疾患   2020年 9週(2020/2/24~2020/3/1)
【今週の注目疾患】

【新型コロナウイルス感染症:第8報】
 3 月 3 日 12 時現在、日本ではこれまでに患者 241 例(国内事例 230 例、チャーター便帰 国者事例 11 例)、無症状病原体保有者 27 例(国内事例 23 例、チャーター便帰国者事例 4 例) およびクルーズ船における事例 706 例(延べ 4,089 名の検査実施)の報告がある。
国内では、 感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、一部地域では小規模な患者クラスター(集団)が把握されている。
全世界では 90,870 例(うち死亡 3,112 例)の新型コロナウ イルス感染症例が報告されており、うち中国本土から 80,151 例の報告となっている。
WHO はリスク評価において、世界的なリスクを当初の「高い」から「非常に高い」に引き上げてい る。

・厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
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・World Health Organization(WHO): Coronavirus disease 2019 (COVID-19) Situation Report?43
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 県衛生研究所では 2020 年第 9 週(2020 年 3 月 1 日時点)までに 749 例(検体数 897)に ついて新型コロナウイルス感染症の検査を実施した。県内保健所(千葉市除く)から搬入さ れた市中感染疑い事例は 316 例(うち陰性化確認 16 例)となっており、この他チャーター便 関連事例 89 例(同 15 例)、クルーズ船関連事例 344 例(同 63 例)の検査を実施した。 そのうち市中感染疑い事例 316 例(検体数 427)について、陰性化確認 16 例を除いた 300 例のうち陽性は 10 例(陽性割合:3.3%(10/300))であり、陽性は 20 代~70 代において認められた。
 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、この一両日で明らかになったこととして、 以下の見解について発表しました。 ・厚生労働省:新型コロナウイルス感染症対策専門家会議
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(1)症状の軽い人からの感染拡大
 これまでは症状の軽い人からも感染する可能性があると考えられていましたが、この一 両日中に北海道などのデータの分析から明らかになってきたことは、症状の軽い人も、気がつかないうちに、感染拡大に重要な役割を果たしてしまっていると考えられることです。
なかでも、若年層は重症化する割合が非常に低く、感染拡大の状況が見えないため、結果と して多くの中高年層に感染が及んでいると考えられます。

(2)一定条件を満たす場所からの感染拡大
 これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約 80%の方は、他の人に感染させていません。
一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。
具体的には、ライブハウス、スポーツジム、屋形 船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テント等です。
このことから、屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わるこ とによって、患者集団(クラスター)が発生する可能性が示唆されます。
そして、患者集団 (クラスター)が次の集団(クラスター)を生むことが、感染の急速な拡大を招くと考えられます。

(3)重症化する患者さんについて
 これまでにわかってきたデータでは、感染が確認された症状のある人の約 80%が軽症、 14%が重症、6%が重篤となっています。
しかし、重症化した人も、約半数は回復しています。
重症化する患者さんも、最初は普通の風邪症状(微熱、咽頭痛、咳など)から始まっており、その段階では重症化するかどうかの区別がつきにくいです。
重症化する患者さんは、 普通の風邪症状が出てから約 5~7 日程度で、症状が急速に悪化し、肺炎に至っています。

 現在は大規模な感染拡大を防ぎ、感染の流行を早期に終息させるため、クラスター(集団) が次のクラスター(集団)を生み出すことを防止することが極めて重要であり、徹底した対 策を講じていく必要があります。
また、こうした感染拡大防止策により、患者の増加のスピードを可能な限り抑制することは、今後の国内での流行を抑える上で、重要な意味を持ちます。
 風邪や季節性インフルエンザ対策と同様に一人ひとりの咳エチケットや手洗いなどの実施がとても重要です。
新型コロナウイルス感染症の特徴を踏まえて、感染の不安から適切な相 談なく医療機関を受診することや、感染しやすい環境に行くことを避けていただくようお願いします。
風邪症状があれば、外出を控えていただき、やむを得ず、外出される場合にはマスクを着用していただくようお願いします。
 なお、次の症状がある方は「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。 l
・風邪の症状や 37.5℃以上の発熱が 4 日以上続いている。
(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます) l
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が 2 日程度続く場合
センターでご相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いのある場合には、専門の「帰国 者・接触者外来」をご紹介しています。
帰国者・接触者相談センターはお住まいの住所を管轄する健康福祉センター(保健所)の「帰国者・接触者相談センター」 (平日)、または相談受付 (電話 043-223-2989。ファックス 043-224-8910(※聴覚に障害がある方をはじめ、電話で のご相談が難しい方は、ファックスをご利用ください。 )。 土曜・日曜・祝日)にご相談ください。
各「帰国者・接触者相談センター」の電話番号などは、下記「帰国者・接触者相談センタ ーの開設について」のページをご覧ください。
・帰国者・接触者相談センターの開設について
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【相談後、医療機関にかかるときのお願い】
l・帰国者・接触者相談センターから受診を勧められた医療機関を受診してください。複数の医療機関を受診することはお控えください。 l
 ・医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和2(2020)年3月4日更新)