2024年02月02日
2024年 第4週
(令和6年1月22日~令和6年1月28日)
【今週の注目疾患】
■侵襲性肺炎球菌感染症
2024 年第 4 週に県内医療機関から侵襲性肺炎球菌感染症(Invasive pneumococcal disease,IPD)の届出が 3 例あり、2024 年の累計は 14 例となった。
14 例のうち、性別では、男性が6 例(43%)、女性が 8 例(57%)であった。
年代別では、65 歳以上が 10 例(71%)、次いで5~64 歳が 4 例(29%)であった。
ワクチン接種歴については 80 代の 1 例について 3 回のワクチン接種歴(1 回目と 2 回目のワクチンの種類は不明、3 回目は 23 価多糖体ワクチン)があった。
その他は接種歴不明が 11 例(79%)、接種歴なしが 2 例(14%)であった。
2013 年から 2024 年第 4 週までに県内医療機関から IPD の届出が 1,076 例あった。
2018年の年間累計届出数 165 例をピークにその後は減少傾向が続いており、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった 2020 年以降は、ピーク時である 2018 年の年間累計届出数の半数以下となったが、2023 年には増加に転じており、今後の発生動向に注意が必要である。
年代別では、65 歳以上が 619 例(58%)で半数以上を占めていた。
肺炎は、2021 年及び 2022 年の本邦における死亡原因の第 5 位である 1)。
また、日常的に生じる成人の肺炎のうち、1/4 から 1/3 は肺炎球菌が原因と考えられている 2)。
肺炎球菌は、乳幼児の鼻咽頭において高頻度に検出され、小児や成人に中耳炎、副鼻腔炎や菌血症を伴わない肺炎などの非侵襲性感染症を引き起こす。
また、肺炎球菌は、ときに髄膜炎や菌血症を伴う肺炎などの IPD を引き起こす。
IPD は通常無菌的であるべき検体から肺炎球菌が分離された疾患を指し、2013 年 4 月、感染症法の 5 類感染症に追加され、全数届出の対象となった 3)。
IPD 発症予防として、肺炎球菌ワクチン接種が行われている。
5 歳未満の小児の肺炎球菌ワクチンとしては、2013 年 4 月から沈降 7 価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)が定期接種対象ワクチンとなり、2013 年 11 月には沈降 13 価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)に置き換わった 3)。
一方、成人の肺炎球菌ワクチンとしては、高齢者を対象として 2014 年 10 月から 23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)が定期接種対象ワクチンとなった。
定期接種の対象者は、①65 歳の方、及び、②60 歳から 65 歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方である。
なお、今年度までは経過措置として、年度内(2023年 4 月 1 日から 2024 年 3 月 31 日まで)に 65 歳、70 歳、75 歳、80 歳、85 歳、90 歳、95 歳及び100 歳となる方が定期接種の対象となっている。
なお、経過措置は今年度末(2024 年 3 月末)に終了し、2024 年 4 月以降の定期接種の対象は上記①及び②の方となるため、今年度の定期接種の対象の方は年度内の接種をご検討いただきたい。
ただし、過去に PPSV23 の接種を受けたことがある方は対象外であるためご留意いただきたい 2)。
■参考・引用
1)厚生労働省:令和 4 年(2022)人口動態統計(確定数)の概況
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2)厚生労働省:高齢者を対象にした肺炎球菌ワクチンの定期接種を実施しています
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3)国立感染症研究所:IASR Vol.44 2023 年 1 月号
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【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
2024 年第 4 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の 16.03 人から増加し、20.88 人であった。
地域別では、君津(37.15)、海匝(29.50)、香取(27.67)保健所管内で患者報告数が多かった。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和6(2024)年1月31日更新)