2023年09月01日

22023年 第34週
(令和5年8月21日~令和5年8月27日)

【今週の注目疾患】
■レジオネラ症
 2023 年第 34 週に県内医療機関からレジオネラ症の届出が 3 例あり、2023 年の累計届出数は58 例となった。
 2014 年から 2023 年第 34 週までに県内医療機関から 807 例のレジオネラ症の届出があり、病型別では肺炎型が 763 例(95%)、ポンティアック熱型が 36 例(4%)、無症状病原体保有者が 8例(1%)であった。
性別では男性が 662 例(82%)、女性が 145 例(18%)と男性が約 8 割であった。
年代別では、60 代が 219 例(27%)と最も多く、次いで 70 代が 207 例(26%)、80 代が143 例(18%)であり、60 歳以上が約 8 割(611 例)を占めた。
レジオネラ症は 1 年を通して発生がみられるが、夏から秋にかけて届出が多くなる傾向があり、引き続き発生動向を注視していく必要がある。

 届出票に記載のあった症状・所見(重複あり)は、肺炎 723 例(90%)、発熱 718 例(89%)、咳嗽 309 例(38%)、呼吸困難 276 例(34%)、意識障害 115 例(14%)、下痢 78 例(10%)、多臓器不全 66 例(8%)、腹痛 24 例(3%)であった。
 推定される感染原因・感染経路(重複あり)は、水系感染が 229 例(28%)、塵埃感染 48 例(6%)であった。

 レジオネラ症は、レジオネラ属菌による細菌感染症であり、主な病型として重症の肺炎を引き起こすレジオネラ肺炎と、一過性で自然に改善するポンティアック熱がある。
レジオネラ属菌は、土壌や水環境に広く存在する菌である。
感染経路としては、エアロゾルを発生させる人工環境(噴水等の水景施設、空調設備の冷却塔、気泡発生入浴設備、加湿器等)や循環水を利用した風呂を感染源とするエアロゾル感染、温泉浴槽内や河川で溺れた際に汚染された水を吸引・誤嚥したことによる感染、汚染された土壌の粉塵を吸い込んだことによる塵埃感染などがある 1,2)。

 レジオネラ肺炎の潜伏期間は 2~10 日である。
全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や 38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難がみられるようになる。
意識レベルの低下、幻覚、手足が震えるなどの中枢神経系の症状や下痢がみられるのも特徴である。
適切な治療がなされなかった場合には、急速に症状が進行し、死亡に至ることもある 2)。
 ポンティアック熱の潜伏期間は 1~2 日である。突然の発熱、悪寒、筋肉痛で始まるが、一過性で治癒する 1)。
 高齢者や新生児は肺炎を起こす危険性が通常より高いので注意が必要である。
また、大酒家、喫煙者、透析患者、移植患者や免疫機能が低下している人は、レジオネラ肺炎のリスクが高いとされている 2)。

 対策としては、超音波振動などの加湿器を使用する時には、毎日水を入れ替えて容器を洗浄することが重要である。
追い炊き機能付きの風呂や 24 時間風呂などの循環式浴槽を備え付けている場合には、浴槽内に汚れやぬめり(バイオフィルム)が生じないよう定期的に清掃を行うなど、取扱説明書に従って維持管理をする 2)。
エアロゾルが発生する高圧洗浄作業や、粉塵が発生する作業、腐葉土を取り扱う園芸作業をする場合には防塵マスクを着用して感染を予防する 1)。
 また、台風や大雨等による水害発生時、清掃やがれき・汚泥の除去等の作業でレジオネラ菌を含む粉塵やエアロゾルを吸い込むことにより感染するおそれがある。
清掃等の作業にあたる場合には、感染予防のためマスクを着用いただきたい 3,4)。

■引用・参考
1)国立感染症研究所:レジオネラ症とは
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2)厚生労働省:レジオネラ症
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3)千葉県健康福祉部疾病対策課:浸水した家屋等の消毒方法について
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4)厚生労働省:被災した家屋での感染症対策
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【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
 2023 年第 34 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の 22.38 人から増加し、25.68 人であった。
 地 域 別 で は 特 に 君 津(45.69)、市原(39.27)、香取(37.33)保健所管内で患者報告数が多かった。
 県内 16 保健所中 12 保健所管内で前週より定点当たり報告数が増加した。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年8月31日更新)