2024年03月15日

2024年 第10週
(令和6年3月4日~令和6年3月10日)

【今週の注目疾患】
■A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎
 2024 年第 10 週に県内の小児科定点医療機関から報告された A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は 5.74(人)となり、第 10 週としては過去 10 年で最も高い定点当たり報告数となった。
本疾患は季節性があり、冬季及び春から初夏にかけて患者数が増加する特徴が見られるが、2021 年、2022 年は明らかなピークを形成せず、患者報告数が減少した状況が続いた。
2023 年は第 19 週以降、定点当たり報告数が増加傾向にあり、第 50 週には現行の感染症サーベイランスを開始した 1999 年以来、定点当たり報告数が最も多い 8.30(人)となった 1)。
直近 5 週間では、複数の保健所管内で定点当たり報告数が増加傾向にあり、今後の発生動向に注意が必要である。

 2024 年第 1 週から第 10 週までに県内小児科定点医療機関から報告のあった A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数は 6,014 例であり、9 歳以下が 4,735 例で全報告数の 78.7%を占めた。

 A 群溶血性レンサ球菌は、上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌としてよくみられるグラム陽性菌で、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こす。
 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎はいずれの年齢でも起こり得るが、学童期の小児に最も多く、3 歳以下や成人では典型的な臨床像を呈する症例は少ない。
本疾患は通常、患者との接触を介して伝播するため、ヒトとヒトとの接触の機会が増加するときに起こりやすく、家庭、学校などの集団での感染も多い。
感染性は急性期にもっとも強く、その後徐々に減弱する。
 潜伏期は 2〜5 日であり、突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛によって発症し、しばしば嘔吐を伴う。
咽頭壁は浮腫状で扁桃は浸出を伴い、軟口蓋の小点状出血あるいは苺舌がみられることがある。
予防としては、患者との濃厚接触を避けること、うがい、手洗いなどの基本的な感染対策が有効である 2)。

■参考・引用
1)千葉県健康福祉部疾病対策課:A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行について(令和 5 年 12 月20 日)
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2)国立感染症研究所:A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは
>>詳細はこちら

【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
 2024 年第 10 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の 7.72 人から減少し、7.59 人であった。
 地域別では、君津(12.23)、長生(10.29)、市原(10.09)保健所管内で患者報告数が多かった。

(令和6(2024)年3月13日更新)