2021年06月18日
今週の注目疾患 2021年 23週(2021/6/7~2021/6/13)
【今週の注目疾患】
【日本紅斑熱】
2021 年 23 週に県内医療機関から日本紅斑熱が1例報告され、前週に報告された2例を合わせ 2021 年の累計は3例となった。
3例の届出の内訳は、性別では全員女性であり、全て 60 代以上だった。
保健所管内別では、安房保健所管内が2例、市原保健所管内から1例報告があった。
3例はいずれも痂皮(かさぶた)が認められており、ダニ等からの刺咬が疑われる。
2017 年以降では累計 42 例が報告されており、例年年間 10 例前後の発生が認められ、概ね 20~25 週頃から報告され始め、冬季頃まで発生が継続する傾向が見られている。
42 例の届出の内訳は、性別では男性 21 例、女性 21 例と同数であり、年代別では 60 代と 70 代がそれぞれ 14 例(33%)ずつで最も多く、60 代以上の高齢者が大半(90%)を占めていた。
保健所管内別では、安房保健所管内が 31 例(74%)で最も多く、次いで君津保健所管内が6例(14%)であった。
日本紅斑熱は、ダニ媒介性疾患の一つであり、発生はダニの性質、生息域、活動などに影響を受ける。
媒介ダニはキチマダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニなどのマダニと考えられており、国内に広範囲で生息している。
病原体はリケッチアの一種であるリケッチア・ジャポニカであり、野山等へ入り、これらを有するマダニに刺咬されることによって感染する場合が多い。
臨床症状として、頭痛、発熱、倦怠感、発疹、刺し口が主な兆候として見られ、同様のダニ媒介疾患であるツツガムシ病との鑑別は困難であるが、ツツガムシ病の場合、発疹の発現部位が主に体幹部であるのに対し、日本紅斑熱の場合は四肢末端部に比較的強く発現する傾向があることや、刺し口が日本紅斑熱の方が小さい、ツツガムシ病に比べて潜伏期間が短い(ツツガムシ病:10~14 日程度、日本紅斑熱:2~8日程度)傾向が見られる。
本疾患の予防にはマダニからの刺咬を防止することが最も重要であり、農作業や森林作業時、レジャーなどで野山等へ入る際には皮膚の露出をなるべく少なくしたり、ダニ忌避剤を使用し、皮膚へのマダニの付着を防ぎ、刺咬されないように心掛けることが必要である。
■引用・参考
・日本紅斑熱とは(国立感染症研究所):
>>詳細はこちら
【RS ウイルス感染症 】
2021年23週に県内の定点医療機関から報告されたRSウイルス感染症の定点当たりの報告数(人)は前週の0.62からさらに増加し、0.78となった。
4週連続で報告数が増加しており、保健所管内別では特に船橋市(3.3)、柏市(3.1)保健所管内からの報告が多くなっている。
昨年はほとんど発生が見られておらず、RSウイルスへ通常のレベルで曝露されていなかった可能性が考えられるため、細気管支炎や肺炎など重度な症状の発現には十分注意が必要である。
地域によっては保育園等で集団感染事例が発生している旨の報告もあり、感染防止のため、飛沫感染対策としてのマスク着用や咳エチケット、接触感染対策としての手洗いや手指衛生といった基本的な感染予防策を着実に講じることが重要である。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年6月16日更新)