2019年09月27日

今週の注目疾患   令和元年・第 38週(2019/9/16~2019/9/22)

【麻しん】
 2019 年第 38 週に県内医療機関から 1 例の麻しんの届出があった。
2019 年に県内医療機関 から届け出られた麻しんは 25 例となった。
第 38 週に届け出られた麻しん症例に海外 渡航歴はなく国内での感染と考えられるが、海外では麻しんが継続的に発生している地域も あり、海外からの麻しん侵入リスクは常に存在する。
麻しんは発熱、咳、鼻水や結膜充血などのカタル症状、発疹といった症状を特徴とし、中耳炎、肺炎や脳炎などが合併症として見られることがあり、麻しんは全年齢において深刻な病態を引き起しうる病気である。
小児において、中耳炎は小児の患者10人に1人程度で起こり、場合によっては恒久的な聴力の低下を残すことがあり、肺炎はおよそ20例に1例の頻度で見られる。
また、脳炎は小児の麻しん患者の1000例に1例の頻度で見られ、場合によっては聴覚障害や知的障害といった後遺症の発生が知られている。
麻しんによる死亡は先進国でも1000例に1~2例と少なくなく、発展途上国での致命率は3~5%におよぶことがある。
また極めて稀ではあるが、感染から7~10年経過後に発症する亜急性硬化性全脳炎も麻しんの合併症として知られる。
麻しんはワクチンにより感染リスクを最小限に抑えることが可能であり、まずは定期接種の機会に確実に予防接種を受けることが重要である。
また予防接種歴が無い、もしくは不明な場合はかかりつけ医と相談の上麻しん含有ワクチン接種の検討と、特に海外への渡航を計画している方、医療従事者、保育関係者、教育関係者、不特定多数の人と接触する職業に従事する方には確実な予防接種が推奨される。
また、免疫抑制などでワクチンの接種が不適当に該当する方の周囲においては、必要回数である2回のワクチン接種を受けて、麻しんに対する免疫を獲得しておくことも重要である。



【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和元年9月25日更新)