2019年06月28日
今週の注目疾患 令和元年・第 25 週(2019/6/17~2019/6/23 )
【レジオネラ症】
2019年第25週に県内医療機関から7例のレジオネラ症の届出があり、2019年の累計は33例となった。
レジオネラ症は一年を通して発生を認めるが、傾向として夏~秋により多く、県内でも過去に当該季節に届出が多くなることが認められた。
33例の届出の内訳は、肺炎型30例、ポンティアック熱型1例、無症状病原体保有者が2例である。
性別は男性25例、女性8例と男性が多く、年齢は男性の年齢中央値72歳(範囲:40~89歳)、女性の年齢中央値86歳(範囲:54~95歳)である。
レジオネラ症は、土壌や水などの自然環境中に存在するレジオネラ属菌によって引き起こされる。
エアロゾルを発生しうる人工環境(噴水・冷却塔・ジャグジー・加湿器等)や循環水を利用した入浴設備等で、衛生的な維持管理が不十分な場合、レジオネラ属菌が増殖し感染源となることがある。
レジオネラ症は劇症型のレジオネラ肺炎と一過性のポンティアック熱の2つの病型に分類される。
レジオネラ肺炎の潜伏期間は通常2~10日(16日間の症例報告もある)、中枢神経症状や下痢などを認めることもあり、有効な抗菌薬による治療がなされないと特に致命的になる(免疫抑制下では40~80%が死亡)。
一方ポンティアック熱は潜伏期間が数時間から48時間程度であり、インフルエンザ様症状が2~5日続くが、一過性で治癒する。
患者からの菌分離は、尿中抗原による診断が難しいレジオネラ属菌による症例の確認や、曝露源と推察される環境から分離された菌と合わせて遺伝子型別を行なうことによって、感染源の特定といった公衆衛生対応にも有用となる。
原因となるレジオネラ属菌は通常ヒトからヒトに直接感染することはないが、患者周囲に同じ感染源に曝露した者がいる可能性があり、注意が必要である。
前述の人工環境や入浴施設の利用による感染が疑われる場合には、環境検査やその曝露源周囲にポンティアック熱を含むレジオネラ症の症状を呈したものがいないか確認し、エアロゾルを発生しうる人工環境や入浴施設については、平時からの適切な維持管理がレジオネラ症予防に重要である。
【手足口病】
2019年第25週に県内定点医療機関から報告された手足口病の定点当たり報告数は、定点当たり5.13(人)となり、警報開始の基準としている定点当たり5.0人を超えた。
県内16保健所管内のうち、12保健所管内で前週より報告が増加した。
報告の多い上位3保健所管内は、船橋市(定点当たり12.82)、市川(9.25)及び海匝(8.75)となっている。
報告された患者は1~3歳児で全体のおよそ8割を占め、成人例も少ないが報告がある。
手足口病の感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染であり、また回復後のウイルス排泄や、感染しても無症状のままウイルス排泄している場合もある。
予防策として、手指衛生の励行と排泄物の適切な処理、また水疱内容にはウイルスが含まれているので患者との濃厚接触を避け、タオル・遊具等を別にするといったことなどが挙げられる。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和元年6月26日更新)