2017年06月02日

今週の注目疾患   平成29年・21週(5月22日~5月28日)

~梅毒~
梅毒の報告は 2010 年以降、増加を示しており、2016 年には全国でおよそ 4,500 例が報告され た。千葉県内でも 2016 年は 140 例の報告があり、近 10 年で最も多くの届出があったが、2017 年は第 21 週までに 51 例が届け出られており、昨年同時期(第 1~21 週)の 45 例よりも多い報 告数を認める。 近年の県内の梅毒届出症例における特徴を示す。2006 年以降、2017 年第 21 週までに合計 586 例の届出があり、男性は 2011 年から 2015 年まで毎年数例~十数例の増加を続けていたが、2016 年は前年から約 40 例の大幅な増加がみられた。女性は 2012 年から増加傾向が確かなものとな り、2012 年は 5 例だった届出が、2016 年には 49 例の届出を認めた(図 1)。 届出に占める病型 の内訳は男性では早期顕症Ⅰ期での届出が多くなっており、女性では早期顕症Ⅱ期での報告が多 い(図 2、 3)。 患者の年齢について、男性では 2006 年以降、患者年齢中央値に大きな変化はなく、 2017 年第 1~21 週までに届け出られた男性の患者年齢中央値は 41 歳(範囲:19-89 歳)であっ た。女性はここ数年 20 歳代が年齢中央値となっており、2017 年第 1~21 週までに届け出られた 女性の患者年齢中央値は 28 歳(範囲:19-82 歳)であった。10 歳代においては、男性の 14 例に 対し、女性は 23 例と女性の届出が多くなっている。推定感染原因・経路については 2 割弱が不明 となっているが、その不明を除けばほとんどが性的接触によるものであり、男女とも性的接触(性
交)のみならず、性的接触(経口)として届け出られた症例を一定数認めている(表)。推定感染
原因・経路について明確なトレンドの変化といったことは確認されない。近年、無症候性および
早期顕症梅毒患者の増加がみられ、若年層を中心とした梅毒に関する啓発上重要である。また、
患者ばかりでなく、必要に応じてその性行為パートナーに対する教育、検査等を行っていくこと が推奨される。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成29年5月31日更新)