2020年07月24日
今週の注目疾患 2020年 29週(2020/7/13~2020/7/19)
【今週の注目疾患】
【 腸管出血性大腸菌感染症 】
2020 年第 29 週に県内医療機関から 6 例の腸管出血性大腸菌感染症の届出があり、2020 年の累計は 39 例となった。
例年同様、週当たりの届出数の増加が見られており、一層の食品の衛生対策、発生時の二次感染防止策の徹底を図る必要がある。
2020 年にこれまで届出のあった 39 例について、病型は患者(有症者)24 例、無症状病原体保有者 15 例である。
患者の年齢群は 5 歳未満 1 例、5~9 歳 6 例、10 代 9 例、20 代 7 例、30 代 4 例、40 代 4 例、50 代 4 例、60 代 1 例、70 代 1 例、80 代 1 例となっており、小児や若い成人層の症例が多い。
39 例の O 血清群・ベロ毒素型は、O157・VT2(9 例)、O157・VT1VT2(5 例)、O157・VT 不明(2 例)、O26・VT1(7 例)、O111・VT1(2 例)、O111・VT1VT2(1 例)、O103・VT1(2 例)、O103・VT 不明(1 例)、O 不明・VT1(5 例)、O 不明・VT2(3 例)、O 不明・VT1VT2(2 例)となっている。
腸管出血性大腸菌感染症は、無症状から溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome,HUS)を続発して致命的となるなど様々な病態をとりうるが、典型例では 3~5 日の潜伏期をおいて、激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に血便がでる。
また 37~38℃ 台の熱や嘔吐を伴うこともある。
HUS、または脳症などの重症な合併症が続くことがあり、HUSを発症した患者の致命率は 1~5%とされている。
手洗いの励行といった基本的な衛生対策、食品の調理時における野菜類の十分な洗浄、肉類の十分な加熱や既知の感染リスクである生肉の喫食を避ける、調理器具類の洗浄、殺菌など交差汚染に対する注意が腸管出血性大腸菌感染症の感染予防に重要である。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和2(2020)年7月22日更新)