2022年12月16日
2022年 第 49 週(2022/12/5~2022/12/11)
【今週の注目疾患】
■つつが虫病
2022 年第 49 週に県内医療機関からつつが虫病の報告が 17 例あり、前週の 2 例から急増した。
2022 年の年間累計報告数は 36 例となり、第 46 週(11 月中旬)から毎週患者が報告されている。
県内のつつが虫病の発生動向には季節性が見られており、例年第 44 週頃(10 月下旬~11 月上旬頃)から翌第 6 週頃(1 月下旬~2 月上旬頃)にかけて報告が多く見られる。
つつが虫病の流行シーズンは年明けまで続くため、引き続き感染対策を十分に行う必要がある。
2018 年から 2022 年第 49 週までに県内医療機関から 276 例のつつが虫病の報告があった。
年間累計報告数は 2020 年以降増加傾向にあり、2021 年は過去 10 年間で最多報告数となった 1)。
性別では男性 166 例(60%)、女性 110 例(40%)で男性が多かった。
60 代以上が全体の 8 割以上を占めるが、一方で 20 代や 30 代の症例報告も少数ながらあった。
つつが虫病は、病原体 Orientia tsutsugamushi を保有するツツガムシがヒトを刺咬・吸着して感染する。
5~14 日の潜伏期間を経て、頭痛、関節痛などをともなって突然の発熱をもって発症する。
発疹は体幹から四肢に広がる傾向があり、ツツガムシに刺された部位に特徴的な直径 1cm程度の黒色痂疲を高率に見出す国内常在のダニ媒介のリケッチア感染症である。
臨床的には、マダニによる日本紅斑熱との鑑別が難しく、届出には実験室診断での鑑別、確定が必要となる 2)。
ツツガムシは野山に生息しているダニ類で、幼虫期の体長が 0.2~0.3mm であり、肉眼で確認することは難しい小さなダニである。
主な患者の発生地域は千葉県南部であるが、北部地域等でも患者の発生は見られるため、県内全域で注意が必要である 3)。
本症の予防に利用可能なワクチンはなく、ダニの刺咬を防ぐことが最も重要となる。
具体的には、農作業や山野などに入る時には長袖・長ズボンを着用して肌の露出を少なくすること、ダニ忌避剤を適切に使用すること、休憩する時は、地面に直接座らずレジャーシート等を敷いて座ること、帰宅したらすぐに着替え、着ていた服を洗濯することなどが感染対策となる。
また、疑わしい症状等があった場合には、早期に医療機関を受診することが重要である 3,4)。
■参考
1)千葉県衛生研究所:千葉県結核・感染症週報 2022 年第 41 週
>>詳細はこちら
2)国立感染症研究所:IASR Vol.43 No.8 つつが虫病
>>詳細はこちら
3)千葉県衛生研究所:つつが虫病に注意!
>>詳細はこちら
4)千葉県:ダニ媒介感染症について
>>詳細はこちら
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年12月14日更新)