2018年09月21日
今週の注目疾患 平成30年・37週(2018/9/10~2018/9/16)
【風しん】
2018年第37週に県内医療機関から38例の風しんの届出があり、2018年の累計は161例となった。なお、第36週に届出のあった1例について発生届の取り下げがあった。また第36週分の遅れ報告1例があった。161例のうち158例は第27週以降に届け出られた症例であり、第30週に届出数急増後、週当たりの届出数は更に増加している。
第27週以降に届け出られた158例について、性別は男性133例(84.2%)、女性25例(15.8%)である。男性は40代(51例)の届出が最も多く、次いで50代(34例)、20代(23例)、30代(21例)と続く。女性は20代(10例)、50代(7例)が多い。ワクチン接種歴は1回(8例)、無し(38例)、不明(112例)であった。
今後も県内で風しん患者の発生が予想され、先天性風しん症候群の発生防止のため、特に、妊娠を希望される女性や抗体を保有しない妊婦と同居されている方、妊婦と接触する機会の多い方(医療従事者等)で、予防接種を必要回数受けていない方は、かかりつけ医などに相談の上、抗体検査や予防接種を検討しましょう。
【マイコプラズマ肺炎】
マイコプラズマ肺炎は、5類感染症の定点報告疾患(全国約500か所の基幹定点医療機関(千葉県内9医療機関))としてサーベイランスされており、2018年第37週に、県内の基幹定点医療機関から4例のマイコプラズマ肺炎の報告があった。第30週以降毎週届出をみとめており、また過去の感染症発生動向調査では晩秋から早春にかけて報告数が多くなる傾向にあり、今後の発生動向に注意が必要である。
第30週以降に報告された25例の患者について、24例は小児、1例は成人例(30歳代)であった。本疾患の報告は、幼児、学童期や青年期に多いが、全年齢が罹患しうる。潜伏期は2~3週間と比較的長く、初発症状としては発熱、全身倦怠、頭痛などである。咳は初発症状出現後3~5日から始まることが多く、経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱後も続く(3~4週間)。特に年長児や青年では、後期には湿性の咳となることが多く、幼児では鼻炎症状も見られる。重症肺炎となることもあり、他に合併症としては、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など多彩なものが含まれる。
感染経路は飛沫感染と接触感染であるが、濃厚接触が必要と考えられている。気道粘液への病原体の排出は初発症状発現前2~8日でみられるとされ、臨床症状発現時にピークとなり、高いレベルが約1週間続いたあと、4~6週間以上排出が続く。感染により特異抗体が産生されるが、生涯続くものではなく徐々に減衰していき、再感染もある。
治療はマクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系抗菌薬による化学療法が基本である。特異的な予防方法はなく、流行期には手洗い、うがいなどの一般的な予防方法の励行と、患者との濃厚な接触を避けることが重要である。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年9月19日更新)