2021年06月04日

今週の注目疾患   2021年 21週(2021/5/24~2021/5/30)
【今週の注目疾患】

【RS ウイルス感染症】
 先週 2021 年 20 週に県内における RS ウイルス感染症の定点当たりの報告数(人)の増加傾向が見られ、注目疾患として特集したところである 1)が、今週に定点医療機関から報告された当該感染症の定点当たりの報告数は先週の 0.11 からさらに増加し、 0.39 となった。
 保健所管内別では船橋市(1.64)、千葉市(1.00)、市川(0.60)が報告の多い上位3保健所管内となっていた。
 直近の全国の状況(2021 年 20 週時点)2)では、定点当たりの報告数(人)は 1.82 となっており、過去 3 年間の同時期と比較して本年は多い傾向である。
特に報告数が多い都道府県は奈良県(9.76)、山口県(8.50)、石川県(6.72)、福井県(5.48)、富山県(4.79)、福岡県(4.76)等であり、その他東北、関東、東海地方においても 1.0 を超える都道府県が複数見られており、全国的な流行が続いている。
 本県においても、2 週連続で増加が確認されており、今後の発生動向を十分注視していく必要がある。

〇RS ウイルス感染症:
 RS ウイルス感染症は、RS ウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)を病原体とする乳幼児に多く認められる急性呼吸器感染症である。
感染経路は、患者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、ウイルスの付着した手指や物品等を介した接触感染が主なものである。
特に、家庭内では、飛沫感染、接触感染を介して、RS ウイルスが伝播しやすいことも報告されている。
早産で新生児や生後 6 カ月以内の乳児、月齢 24 カ月以内で免疫不全を伴う、あるいは血流異常を伴う先天性心疾患や肺の基礎疾患を有する、あるいはダウン症候群の児は重症化しやすい傾向がある。
さらに、慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者における RS ウイルス感染症では、肺炎の合併が認められることも明らかになっている 3)。
 これらハイリスク者が家庭内に存在する場合、罹患により重症となる可能性があるため、適切な飛沫感染や接触感染に対する感染予防策を講じることが重要である。
飛沫感染対策としてのマスク着用や咳エチケット、接触感染対策としての手洗いや手指衛生といった基本的な対策を徹底することが求められる。

■引用・参考
1)2021 年第 20 週-今週の注目疾患 RS ウイルス感染症
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2)IDWR 速報データ 2021 年第 20 週 国立感染症研究所
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3)直近の新型コロナウイルス感染症および RS ウイルス感染症の状況(2021 年 4 月 9 日現在)国立感染症研究所
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【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年6月2日更新)