2017年09月08日

今週の注目疾患   平成29年・35週(8月28日~9月3日)

【腸管出血性大腸菌感染症】
2017 年第 35 週に 13 例の腸管出血性大腸菌感染症の届出があり、2017 年の合計は 127 例となった。
第 35 週に届出られた 13 例の内訳は 6 例が患者、7 例が無症状病原体保有者であり、血清型および VT 型別では O157 VT2 が 7 例、O157 VT1VT2 が 3 例、O157 VT 型不明 1 例、O26VT1 が 1 例、O111 VT1VT2 が 1 例であった。
第 31 週以降、O157 VT2 による腸管出血性大腸菌感染症の届出が継続しているが、週毎に接触者調査によって探知された無症状病原体保有者が占める割合が増えてきており(図 1)、患者(有症者)の届出数は減少傾向にある。
しかし、無症状病原体保有者が新たな感染源となりうるため、学校等の夏季休暇が終了し、大量調理施設による給食等が開始されることや家庭内の二次感染の報告もあることから、平時から手洗いの励行といった衛生管理を徹底することが重要である。

【レプトスピラ症】
レプトスピラ症は感染症法に基づく全数把握の 4 類感染症に分類されている。
国内におけるレプトスピラ症の発生は 7 月から 10 月に多く、特に 9 月にピークを持つ。2006 年以降、県内の医療機関から届出られたレプトスピラ症は 6 例あり、1 例は東南アジアへの渡航歴のある症例、5 例は推定感染地域が県内の症例であった。
6 例のうち、輸入例と推察される 1 例も含めて 5 例が 8月(2 例)もしくは 9 月(3 例)の発病であった。
レプトスピラ症の感染経路として、原因となるレプトスピラ属菌の保菌動物の尿で汚染された環境での曝露、また動物の尿や血液への直接接触などがあげられ、野生動物含め、ペットの犬など様々な動物が保菌動物となりうる。レプトスピラ症の症状は急性熱性疾患で、3~14 日の潜伏期間ののち、突然の悪寒、発熱で発症する。
感冒様の軽症型から、黄疸、出血、腎不全を伴う重症型(ワイル病)までその臨床症状は多彩である。
感染契機として河川等の淡水域での遊泳やレジャー活動や農作業の他、飲食店等の食品を取り扱う施設は保菌動物のネズミの誘因施設となるため注意が必要である。
また、海外の東南アジア等の流行地では台風や季節的な大雨による洪水の後に大規模なレプトスピラ症の発生がみられ、国内でも台風後の感染の報告がある。
これから台風の発生・国内上陸が増加する季節であるため、台風や大雨による洪水の後には不用意に水に入ること避け、どうしても農作業(水路等の清掃等)や河川での作業が必要な場合は、ゴム手袋とゴム長靴を着用し、皮膚と感染源との物理的接触を最小限にすることが重要である。


【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成29年9月6日更新)