2018年07月13日

今週の注目疾患   平成30年・27週(2018/7/2~2018/7/8 )

【A型肝炎】
2018 年第 27 週に県内医療機関から 4 例の A 型肝炎の届出があり、2018 年の累計は 17 例となった。
A 型肝炎の届出は、県内では 2013 年以降毎年増加を示している。
2018 年は第 27週までに既に昨年 1 年間(2017 年第 1~52 週)の届出数(16 例)を上回り、全国の届出数も第 25 週までに 450 例の届出を認め、過去 10 年で最も多い届出数となっている。
A 型肝炎の報告は冬から初夏にかけて多く、秋以降は少なくなるが、例年以上に届出が多い本年においては、今後の発生状況に注意が必要である。
A 型肝炎については、衛生状態が極めて悪い国では感染機会が多く、ほとんどが症状の出現頻度が低い小児のうちに感染し免疫を獲得するが、衛生状態の良い日本ではウイルスに対する抗体を持たない感受性者が大多数である。
ただし、A 型肝炎はワクチンで予防可能な疾患であり、国内においてもワクチンを接種することが可能である。
2018 年に届け出られた 17 例については、男性 15 例(年齢中央値 47 歳、範囲 26~57 歳)、女性 2 例(ともに 60 歳代)であった。
国立感染症研究所がまとめた全国の届出状況においても、2018 年は届出に占める男性の割合が高く、推定感染経路において性的接触が過半となっており、推定感染経路を経口感染とした届出の割合は過去と比較して低くなっている。
A 型肝炎は、感染者の糞便中に排出されたウイルスに汚染された食品・水の接種、または性的接触等の直接的な接触によって感染する。
A 型肝炎の特徴として、潜伏期間が 2~6 週と長いことが挙げられる。
またウイルスは感染後約 1 週間から時に発症後数ヶ月まで、すなわち症状の出現前から長期に便中に排出されうることも特徴である。
症状は発熱、全身倦怠感、食欲不振、腹痛、嘔吐などにつづき、黄疸や肝腫大が出現する。
稀に劇症化や死亡に至ることがあるが、通常慢性化することはなく、発症して 2~3 ヶ月で回復する。
顕性・不顕性に関わらず、一度感染すると終生免疫が得られる。
6 歳未満の小児は感染しても多くは発症せず、発症しても黄疸を示さないことが多い。
一方で成人は黄疸を伴い発症することが多く、年齢の上昇とともに症状は重くなる。
A 型肝炎に対する特異的な治療法はなく、発症時は対処療法や安静が中心となる。
予防は、手洗い等衛生管理の徹底、十分な加熱調理(85℃、1 分以上)、塩素剤等による消毒、性的接触時の対策など個人の積極的な対策が重要である。
流行地への渡航者、A 型肝炎患者との接触機会が多い医療従事者、慢性肝疾患などの基礎疾患を有し A 型肝炎ウイルスに対する抗体をもたない者、男性同性愛者等の A 型肝炎のハイリスク者にあっては、任意ではあるもののワクチン接種を受けることが望まれる。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年7月11日更新)