2021年07月16日

今週の注目疾患   2021年 27週(2021/7/5~2021/7/11)
【今週の注目疾患】

【RSウイルス感染症】
 2021 年 27 週に県内の定点医療機関から報告されたRSウイルス感染症の定点当たりの報告数(人)は前週の 4.19 からさらに増加し、6.73 となった。
8 週連続の増加であり、過去 5 年間において最も高い報告数となっている。
報告のあった症例 881 例のうち、性別では男性が 479 例(54%)、女性が 402 例(46%)であり、年齢群別では 3 歳以下が 762 例(86%)で大部分を占めており、そのうち 1 歳が 250 例(28%)で最も多く、次いで 2 歳が 196 例(22%)、3 歳が 175 例(20%)、0 歳が 141 例(16%)であった。
保健所管内別では柏市(18.78)、船橋市(13.82)、海匝(13.50)、習志野(12.80)、松戸(10.89)保健所管内で定点当たり報告数が 10 を上回っており、特に報告数が多い。
 RSウイルス感染症は全国的に流行が見られており、前週時点の全国における定点当たり報告数は 4.13 であり、過去 10 年間で最も高い報告数を記録している1)。
 昨年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、RSウイルス感染症の発生はほとんど見られず、RSウイルスへ通常のレベルで曝露されていなかった可能性が考えられることから、特に重症化の可能性のある1歳未満の新生児・乳幼児や心臓・肺等の基礎疾患保有者、免疫不全者などは十分注意が必要である。
 RSウイルス感染症はオルトニューモウイルス属RNAウイルスのRSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)を病原体とする急性呼吸器感染症である。
感染経路として、患者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染とウイルスの付着した手指や物品等を介した接触感染が主である。
 RSウイルスの感染力や増殖力は比較的強く、実行再生産数(Ro)はおよそ 3.5(範囲 1.2-9.1)程度、感染性のある期間(Infectious period)は通常感染後 3~8 日程度とされているが、一部の乳児や免疫低下者等の場合には約4週間感染性が継続する場合もあるため、保育園・幼稚園・学校・病院・家庭内などでの集団感染につながりやすい。
また、RSウイルスはテーブルやベビーベッドのレール等の表面上で数時間生存できることが分かっている2)。
RSウイルス感染症への感染を防ぐには、飛沫感染対策として、マスクの着用、咳エチケット、こまめな室内換気の実施、十分な身体的距離の確保、施設利用時間の短縮や、接触感染対策として、手洗いや手指衛生の励行、むやみに顔、目、口などに触れない、ウイルスが付着している可能性が高い高頻度接触物(おもちゃ等の共用物品、ドアノブ等)のアルコールによる消毒等の実施が有効である。
乳幼児の場合、通常マスクを着用したり、身体的距離を確保するなどの感染予防策を自ら講じることは困難であるため、上記感染予防策の実施については、保護者や関係者等のサポートと配慮が不可欠である。
また、保育園や病院等の関係施設においては、日頃からスタッフの体調管理に配意し、体調不良時の出勤防止、同居家族からの感染予防等スタッフへの感染対策に関する教育を実施しておくことも施設への持ち込み対策として重要である。

■引用・参考
1)IDWR速報データ第 26 週(国立感染症研究所)
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2)Respiratory Syncytial Virus Infection (RSV) RSV Prevention,Transmission(アメリカ疾病予防管理センター(CDC))
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【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年7月14日更新)