2019年06月14日
今週の注目疾患 令和元年・第 23 週(2019/6/3~2019/6/9)
【手足口病】
2019年第23週に県内定点医療機関から報告された手足口病の定点当たり報告数は、定点当たり1.75(人)であった。
この定点当たり報告数は、第23週時点の定点当たり報告数としては1999年以降の過去同時期と比較して最も多く、例年よりも早期に報告の増加が見られ
ている。
県内の保健所管内別では、16保健所管内(千葉市、船橋市及び柏市含む)のうち、10保健所管内で前週より報告は増加し、報告の多い上位3保健所管内は柏市(定点当たり4.33)、市川(4.25)及び船橋市(3.27)となっている。
全国の地方衛生研究所で検出される手足口病由来ウイルスとしては、直近はコクサッキーA6(CA6)が多い。
手足口病の感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染であり、また回復後のウイルス排泄や、感染しても無症状のままウイルス排泄している場合もある。
予防策として、手指衛生の励行と排泄物の適切な処理、また水疱内容にはウイルスが含まれているので患者との濃厚接触を避け、タオル・遊具等を別にするといったことなどが挙げられる。
【インフルエンザ】
北半球 2019/2020 シーズンに向けたインフルエンザワクチンに関し、国内の 2019/2020 シーズンのインフルエンザワクチン株は以下のとおりと発表された。
・A/Brisbane/02/2018(IVR-190)(H1N1)pdm09 (2018/2019 シーズンから変更)
・A/Kansas/14/2017(X-327)(H3N2) (2018/2019 シーズンから変更)
・B/Phuket/3073/2013(山形系統) (2018/2019 シーズンと同一)
・B/Maryland/15/2016(NYMC BX-69A)(ビクトリア系統)(2018/2019 シーズンと同一)A(H3N2)に関して、赤血球凝集素(HA)遺伝子進化系統樹上では、世界的に A(H3N2)
流行株は大きくグループ 3C.2a および 3C.3a に分類され、3C.2a ではさらにサブグループ3C.2a1b および 3C.2a2 に分かれる。
なお、3C.2a1b および3C.2a2 に属する流行株と 3C.3aに属する流行株の抗原性は異なることが認められている。
国内では、2018/2019 シーズンにおいて 3C.2a1b に属する流行株が最も多く検出され、3C.3a に属する株は検出されていない。
一方海外では、11 月以降米国およびヨーロッパの一部の国において 3C.3a に属する流行株の検出の急増が報告されている。
これまで、3C.3a に属する株の流行は一部地域に限定されていたが、検出数の急増、今後世界的に拡大する可能性があること、今シーズンのワクチン推奨株とは抗原性が異なるということ、多くの人は 3C.3a 流行株に対する免疫が低いことから、WHO は次シーズンの A(H3N2)ワクチン株として 3C.3a に属する流行株から選定するのが妥当と判断し、【A/Kansas/14/2017】 類似株を推奨した。
国内においても、国内では 3C.3a に属するウイルスは検出されていないものの、上記の理由から次シーズンは 3C.3a に属する流行株から選定することが妥当とされた。
南半球ではこれからインフルエンザシーズンとなり、発生の増加が報告されている。
WHOの報告や各国のサーベイランスレポート等によると、オーストラリアやニュージーランドでは A(H3N2)が主として検出され、直近は B 型による割合が増加している。
B 型に関しては B(ビクトリア系統)の検出が報告されている。
その他、南アフリカでは A(H3N2)によるものが主であり、南アメリカでは A(H1N1)pdm09 が主と報告されている。
南半球での A(H3N2)3c.3a 流行株や B(ビクトリア系統)の検出状況にも注視し、今後(2019/2020 シーズンも見据えて)のインフルエンザの動向を注視していく必要がある。
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和元年6月12日更新)