2022年11月18日
2022年 第 45 週(2022/11/7~2022/11/13)
【今週の注目疾患】
■インフルエンザ
2022 年第 45 週に県内インフルエンザ定点医療機関より報告されたインフルエンザの定点当たりの報告数は 0.02(人)(患者報告数 5例)であった。
型別では A 型が 4 例(80%)、B 型が 1 例(20%)であった。
依然として流行開始の目安としている指標(定点当たりの報告数 1.0(人))を大きく下回っているものの、第 38 週以降患者が継続して報告されている。
日本感染症学会は 2022/23 シーズンのインフルエンザ流行を懸念しており 1)、今後の発生動向に注意が必要である。
2022 年第 36 週から 2022 年第 45 週までに県内インフルエンザ定点医療機関より報告されたインフルエンザ症例数の累計は 30 例であった。
年齢群別では、20 代が 10 例(33%)で最も多く、次いで 5~9 歳が 8 例(27%)、15~19 歳が 3 例(10%)であった。
定点医療機関の協力による迅速診断結果については、29 例中 A 型 20 例(69%)、B 型 7 例(24%)、A or B 型 2 例(7%)であった。
インフルエンザはインフルエンザウイルスを病原体とする気道感染症である。
インフルエンザウイルスに感染してから、1~3 日間ほどの潜伏期間を経て、発熱(通常 38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現れ、咳、鼻水などの上気道炎症状がこれに続く。
高齢者や年齢を問わず呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患、糖尿病などの代謝疾患を持つ者、免疫機能が低下している者では、原疾患の増悪とともに、呼吸器に二次的な細菌感染症を起こしやすくなることが知られており、入院や死亡の危険が増加する。
また、原因は不明であるが、小児において急激に悪化する急性脳症が増加することも明らかとなっている 2)。
季節性インフルエンザには流行性があり、日本では例年 12 月~3 月が流行シーズンと言われている。
一方、インフルエンザの発生動向は 2020 年以降の新型コロナウイルス感染症流行に大きな影響を受けており、多くの国や地域で予想されていたよりも低いレベルで推移していた 3)。
県でも 2020 年第 10 週(定点当たりの報告数 2.45(人))を最後に、定点当たりの報告数は 1.0(人)を下回っている。
日本感染症学会は、2022/23 シーズンはインフルエンザ流行の可能性が大きいとしている。
北半球の冬季のインフルエンザ流行を予測する上で、南半球の状況は参考になると言われているが、2022 年は南半球で大きな流行が確認された 1)。
また、直近の WHO(世界保健機関)の報告によると、北半球で報告数の増加傾向が観測されている。
型別では B 型や A(H1N1)pdm09 が報告されている地域もあるが、欧米などの地域では A(H3N2)が優位を占めている 4)。
今後、国内外の往来が活発化すれば、日本においても流行が起こる可能性がある。
過去 2 年間、大きな流行がなかったために、社会全体のインフルエンザに対する集団免疫が低下しているという考えもあり、大きな流行になることが懸念されている 1)。
今季のインフルエンザについては、新型コロナウイルス感染症との同時流行も懸念されており、日本感染症学会は、接種できない理由のある方以外には、インフルエンザワクチン接種を推奨している。
厚生労働省によると、今冬のインフルエンザワクチンは、記録が残る中で最大の供給を確保できる見込みである 5)。
流行前のワクチン接種が望ましいため、接種を希望される方は機会を逸することのないよう早めにご検討願いたい。
また、インフルエンザワクチンは重症化予防や発症をある程度抑える効果が期待できるが、発病を必ず防ぐわけではないため、基本的な感染対策の徹底も重要となる 3)。
・基本的な感染対策
1 外出後の手洗い
2 適度な湿度の保持
3 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
4 人混みや繁華街への外出を控える
5 室内ではこまめに換気する
■参考
1)一般社団法人日本感染症学会:2022-2023 年シーズンのインフルエンザ対策について
>>詳細はこちら
2)国立感染症研究所:インフルエンザとは
>>詳細はこちら
3)厚生労働省:令和4年度インフルエンザ Q&A
>>詳細はこちら
4)WHO: Influenza Update N°431 31 October 2022
>>詳細はこちら
5)厚生労働省:今冬のインフルエンザワクチンの接種対象者への呼びかけについて
>>詳細はこちら
【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年11月16日更新)