2023年03月24日

2023年 第11週
(令和5年3月13日~令和5年3月19日)

【今週の注目疾患】
■パラチフス
 2023 年第 11 週に県内医療機関からパラチフスの届出が 1 例あった。
当該患者は海外への渡航歴があった。

 2012 年第 1 週から 2023 年第 11 週までに県内医療機関から届出のあったパラチフス症例は合計 11 例であった。
報告された 11 例のうち、性別では男性が 8 例(73%)、女性が 3 例(27%)であった。
年代別では 20 代が 4 例(36%)で最も多く、次いで 50 代が 3 例(27%)であった。
渡航歴の有無が確認できた症例は 10 例であり、全てに海外渡航歴があった。
推定される感染地域としてはアジア地域が 9 例(90%)、アフリカ地域 1 例(10%)であった。

 国立感染症研究所の報告によると、2017 年から 2021 年までに国外からの輸入パラチフス症例が計 60 例報告されていた。
2017 年から 2019 年までは 10~20 例程度報告されていたが、2020年は 6 例、2021 年は報告なしと減少傾向であった。
2022 年は 9 月までの時点で 5 例報告されており、2021 年と比較して増加傾向が認められている 1)。
今後の発生動向に注意が必要である。

 パラチフスは腸内細菌科サルモネラ属に属するチフス菌による全身性感染症であり、一般のサルモネラ感染症とは区別される。
南アジア、東南アジアでの罹患率が高く、また中南米、アフリカでも発生がみられる。
日本における発生は散発的であり、その多くは流行地域への渡航者による輸入事例である 2)。
 臨床症状は通常、7~14 日間(報告によっては 3~60 日間)程度の潜伏期間を経て、発熱、頭痛、全身倦怠感、高熱、徐脈、バラ疹、脾腫などの症状を呈する。
ごく少量の菌数で感染することがあり、多くの場合、ヒトの糞便や尿で汚染された食物や水が当該疾患を媒介するため、衛生環境の改善が感染リスクの減少につながる。
パラチフスに対するワクチンは現在のところ流通していない。
予防のためには、汚染されている可能性のある食べ物や水に注意し、十分に加熱された飲食物を摂取することや手洗いの励行等が重要となる 2,3)。

■参考
1)国立感染症研究所:日本の輸入感染症例の動向について
>>詳細はこちら
2)国立感染症研究所:腸チフス・パラチフスとは
>>詳細はこちら
3)FORTH:お役立ち情報 腸チフス、パラチフス
>>詳細はこちら

■インフルエンザ
 2023 年第 11 週の県全体のインフルエンザ定点当たり報告数は、前週(2023 年第 10 週)の 8.60(人)から減少して 5.92(人)となった。
 保健所管内別では君津 11.17(人)で 10.0(人)をこえた。
2023 年第 11 週に報告のあった 1173 例のうち、A 型 1005 例(86%)、B 型 15 例(1%)型非鑑別キットで陽性 40 例(3%)、検査未実施(検査実施未確認例含む)113 例(10%)であった。

 引き続き、インフルエンザの予防対策を徹底していただきたい。

千葉県:インフルエンザから身を守ろう
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年3月22日更新)