今週の注目疾患  
2021年 44週(2021/11/1~2021/11/7)
【今週の注目疾患】

≪A 型肝炎≫
 2021 年第 44 週に市川保健所管内、安房保健所管内の医療機関よりそれぞれ 1 例ずつ A 型肝炎の報告があった。
性別では男性 1 例、女性 1 例であり、年代はいずれも 70 代以上であった。

 2021 年の県内における A 型肝炎の累計報告数は 5 例となった。
過去 5 年間の県内における A型肝炎発生報告数は、2017 年から 2019 年までは 16 例から 36 例であったが、2020 年は 2 例と
大きく減少し、本年も報告数が少ない状況が続いている。
また、年代別は、2017 年から 2019年までは 20 代から 40 代が半数以上を占めていたが、2020 年、2021 年は全ての患者が 60 代以上であった。

 A 型肝炎は A 型肝炎ウイルス(HAV)感染による疾患である。
一過性の急性肝炎が主症状であり、治癒後には強い免疫を獲得する。
HAV は糞便中に排泄され、糞口感染で伝播する。
旅行者が海外で感染するほか、汚染された食品や水などを摂取することによる経口感染1)、性的接触により感染する場合もある2)。

 潜伏期間は 2~6 週間であり、発熱、倦怠感などに続いて ALT、AST が上昇する。
食欲不振や嘔吐などの消化器症状を伴うが、典型的な症例では黄疸、肝腫大、濃色尿、灰白色便などを認める。
まれに劇症化して死亡する例を除き、1~2 か月の経過の後に回復する。
慢性化はせず、予後は良好である。
しかし、成人では小児に比べ、臨床症状も肝障害の程度も強い傾向にあり、加齢とともに重症化の割合が増えることから、高齢者の感染には注意が必要である1)。
また、HAV は発症約 2 週間前から発症後数か月まで長期に糞便中に排泄されるため、感染者は発症前から感染源となり得る2)。

 近年の日本においては、HAV 感染が少なく、抗体保有率が非常に低下していることから、患者が発生した場合には、施設内の集団発生や家族内感染等二次感染への予防が重要である1)。

 予防としては、患者の排泄物や汚染食品等の適切な処理、手洗いの励行など一般的な衛生管理のほか、食品は 85℃1 分以上、十分に加熱調理をすること、塩素剤等による消毒などが基本となる。
また、ワクチンによる長期間の発症予防が期待できることから、A 型肝炎蔓延地域への旅行者、医療従事者、慢性肝疾患患者などの高リスク者にあっては、ワクチン接種を受けることが望ましい2)。

■参考
1)国立感染症研究所:A 型肝炎とは
>>詳細はこちら
2)国立感染症研究所:A 型肝炎 2015~2019 年 3 月現在
>>詳細はこちら


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年11月10日更新)