2023年11月24日

2023年 第46週
(令和5年11月13日~令和5年11月19日)

【今週の注目疾患】
■つつが虫病
 2023 年第 46 週に県内医療機関からつつが虫病の届出が 5 例あり、2023 年の累計届出数は 26例となった。
年齢群別では 70 代が 11 例(42%)で最も多く、次いで 60 代が 6 例(23%)、80 代が 4 例(15%)であり、60 代以上で 2023 年の届出全体の 8 割を占めていた。
 つつが虫病の届出数は近年増加傾向にあり、県南部からの届出が多い。
また、例年 11 月頃から届出数が増加する傾向にある。
 つつが虫病は、病原体 Orientia tsutsugamushi を保有するツツガムシ(ダニ類の一種)がヒトを刺咬・吸着して感染する。
つつが虫病の潜伏期間は 5~14 日で、典型的な症例では高熱を伴って発症し、皮膚には特徴的なツツガムシの刺し口(黒色痂疲)がみられ、その後数日で体幹部を中心に発疹がみられるようになる。
また、患者の多くは倦怠感、頭痛を訴え、患者の半数には刺し口近傍の所属リンパ節、あるいは全身のリンパ節の腫脹がみられる。
つつが虫病は有効な抗菌薬(第一選択薬はテトラサイクリン系)があるが、死亡例も報告されているため、適切な診断・治療が重要である 1)。
 つつが虫病を予防するワクチンはないため、ダニの刺咬を防ぐことが極めて重要となる。
農作業や山林作業、レジャーなどで山林や草むらなどに立ち入る場合には、(1)長袖長ズボンなど肌の露出が少ない服装にする、(2)忌避剤(防虫スプレー)を使用する、(3)地面に直接座らずに敷物を使用する、(4)帰宅をしたらすぐに着替え、洗濯する、(5)帰宅後はすぐに入浴し、体にダニが付いていないか確認する、などの対策をとる。
また、刺咬された場合には、無理に引き抜くとダニの一部が皮膚に残ってしまうことがあるので、医療機関を受診して除去してもらうことが推奨される 2-4)。

■参考・引用
1) IDWR 注目すべき感染症 ダニ媒介感染症 つつが虫病・日本紅斑熱
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2) 千葉県衛生研究所:つつが虫病に注意!
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3) 千葉県衛生研究所:マダニ被害に遭わないために!
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4) 千葉県健康福祉部疾病対策課:ダニ媒介感染症について
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■後天性免疫不全症候群
 12 月 1 日は世界エイズデーである。後天性免疫不全症候群(AIDS、エイズ)のまん延防止及び患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的として 1988 年に WHO(世界保健機関)が 12月 1 日を世界エイズデーと制定し、AIDS に関する正しい知識の普及啓発を推進している 1)。
 2023 年第 1 週から第 46 週までの県内の後天性免疫不全症候群の累計届出数は 32 例(男性 30例、女性 2 例)であった。
累計届出数は 2019 年から減少傾向であったが、2023 年は既に 2022年の届出数(26 件)を超え、増加に転じている。
年代別では、20 代が 9 例(28%)、30 代が 8 例(25%)、40 代が 7 例(22%)、50 代が 6 例(19%)であり、20~50 代で全体の9 割以上を占めており、この傾向は変化していない。
 後天性免疫不全症候群はヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus;HIV)に感染することで免疫不全が生じ、健常者では通常見られないさまざまな日和見感染症や悪性腫瘍を引き起こす状態をいう。
HIV 感染の自然経過は感染初期(急性期)、無症候期、AIDS 発症期の 3 期に分けられ、時間が経過するとともに免疫システムの破壊が進行するため、早期診断、治療がとても重要となる 2)。
 県では、毎年「千葉県ストップエイズウィーク」として、12 月 1 日を中心にキャンペーンや即日検査などを実施している 3)。
また、通年で保健所等において無料・匿名の HIV 検査を実施している。
居住地に関係なく、どの保健所でも受検することができるので、希望する方は活用されたい。
なお、本年度の実施日程等の詳細は県ホームページをご確認いただきたい 4)。
■参考・引用
1) 厚生労働省:12 月 1 日は「世界エイズデー」
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2) 国立感染症研究所:AIDS(後天性免疫不全症候群)とは
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3) 千葉県健康福祉部疾病対策課:千葉県ストップエイズウィーク 2023
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4) 千葉県健康福祉部疾病対策課:千葉県内のエイズ等相談・検査:千葉県
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【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
 2023 年第 46 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の 1.60 人から増加し、1.76 人であった。
地域別では、夷隅(3.40)、印旛(2.71)、君津(2.69)保健所管内で患者報告数が多かった。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年11月22日更新)