2018年08月17日

今週の注目疾患   平成30年・32週(2018/8/6~2018/8/12)

【風しん】
 2018 年第 32 週に県内医療機関から 15 例の風しんの届出があった。
2018 年の累計は 41例となったが、うち 38 例は第 27 週以降のものである。
特に第 30 週に急激な届出数の増加を認め、その後も非常に届出の多い状態となっており、県内で風しんの流行が続いている。
県内での風しん発生状況については第 30 週と第 31 週の週報注目疾患でも取り上げている。
また、8 月 2 日に風しん患者の増加を受け県から注意喚起を行っており、併せて参照いただきたい。
8 月 14 日には関東地方で風しんの届出数が大幅に増加していることから、厚生労働省から注意喚起の協力依頼が出されている。
 第 27 週以降に届出られた 38 例は女性 6 例(15.8%)、男性 32 例(84.2%)と男性が圧倒的に多く、特に 40 代男性(31.6%)と 20 代男性(23.7%)患者の届出が多い。
ワクチン接種歴は、2 回(2 例)、1 回(2 例)、無し(4 例)および不明(30 例)であった。
風しんは 15~30%において症状の出ない不顕性感染となるため、実際の感染者は届出られた患者より多い。
また、不顕性感染者もウイルス排出するため、感染源となる。
風しんの潜伏期間は 2~3 週間と長く、今後新たな患者発生が予想される。
 風しんは、妊娠 20 週頃までの妊婦が罹患すると、風しんウイルスが胎盤を介して胎児に感染し、出生児に「先天性風しん症候群」と総称される障害をもたらすことがある。
妊娠を希望する女性やその家族においては、ワクチン接種歴を確認し、未接種の場合は抗体価の測定やワクチン追加接種といった対策が勧められる。
なお、妊婦はワクチンを接種することはできない。
また、接種後の 2 ヵ月間は避妊が必要となる。
 現在の流行において、就労世代から多くの風しん患者が届け出られている。
職場、通勤時や医療機関受診時等の周囲に妊婦がいる可能性があり、流行の継続により当然妊婦が罹患するリスクは高まり、先天性風しん症候群の発生が危惧される。
1979 年 4 月 2 日以前の生まれの男性においては、定期接種として風しん含有ワクチンを接種する機会がなかったことなど、風しんワクチンの定期接種制度には変遷があり、抗体保有率の低い世代がある。
2017 年度の県内における風しんに対する抗体保有率の調査の結果から、35~54 歳の男性の 4 人に1 人は赤血球凝集抑制(HI)法で測定した抗体価において抗体価〔8 倍未満〕と風しんウイルスに対する免疫を保有していなかった。
また、妊娠を希望する女性やその同居者、医療従事者などは、より確実な風しんの予防のため、十分な免疫を保有していると考えられる〔32倍以上:HI 法〕の抗体価が求められる。
2017 年度の調査において、県内の 20~30 代男女の抗体価 32 倍未満の割合は女性では 20代(16.7%)、30 代(12.1%)、男性においては 20代(28.6%)、30 代(35.3%)であった(第 30 週週報注目疾患参照)。
妊娠を希望する女性やその家族の風しんに対する十分な抗体保有、またそれ以外の成人においてもワクチン未接種の場合は接種が推奨され、先天性風しん症候群の発生防止が求められる。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年8月15日更新)