今週の注目疾患   平成30年・26週(2018/6/25~2018/7/1 )

【麻しん】
2018 年第 26 週に県内医療機関から 3 例の麻しんの届出があり、2018 年の累計は 4 例となった。
第 26 週に届け出られた 3 例について、いずれの患者も感染したと推定される期間に国内他自治体や海外への渡航歴はなく国内での感染と考えられるが、先行する感染源は明らかになっておらず、また患者間の関連性は確認されていない。
3 例のうち 2 例の患者はワクチン接種歴がなかった。
麻しんの検査は、麻しんウイルス遺伝子を検出する real-time RT-PCR 法と conventionalRT-PCR(cRT-PCR)法(N 遺伝子検出法ならびに H 遺伝子検出法)、血清中の麻しん特異的 IgM の検出もしくはペア血清での特異的 IgG 抗体価の陽転または有意上昇の確認がある。
麻しんウイルス遺伝子検査では原則として real-time RT-PCR 法を第一選択とし、検査に用いる検体は 3 種類(血液、咽頭拭い液と尿など)が望ましい。
real-time RT-PCR 法が「陽性」の場合は、麻しんウイルス遺伝子が検体中に存在することを意味し、「検査陽性」とする。
realtimeRT-PCR 法で陽性となった場合は N 遺伝子に対する cRT-PCR を実施し、シーケンスにより塩基配列を決定し、麻しんウイルスの遺伝子型を決定する。
遺伝子型 A(ワクチン株)が検出された場合はワクチン接種後のワクチン株の検出とし、麻しん「陽性」としない。
realtimeRT-PCR 法で「陽性」だが、N 遺伝子 cRT-PCR 法が「陰性」で遺伝子型が決定できないことがある。
その場合は「検査陽性、遺伝子型不明(Not Typed)」と判断する。
第 26 週に届け出られた 3 例のうち 2 例については上記の検査により遺伝子型 D8 と判明した。
遺伝子型 D8 の麻しんウイルスは近年東南・南アジアにおいて検出される主要な遺伝子型であるが、ヨーロッパなど他の地域でも検出されている。残る 1 例については real-time RT-PCR 法で陽性であったが、N 遺伝子 cRT-PCR 法で遺伝子の増幅を認めず、遺伝子型は不明であった。
日本は、2015 年 3 月に WHO から麻しん排除国として認定を受けたが、その後も輸入例、輸入例を発端とした国内感染例の麻しん患者の届出を認めている。
患者発生時は、積極的疫学調査によって先行する麻しん患者の探索、患者の接触者調査による感染拡大防止を図ることが重要である。
行来が激しい現在においては、第 26 週に届け出られた 3 例のように先行する麻しん患者が探知されないこともありうるが、最も有効な予防法であるワクチンを確実に2 回受けることで、個人としても地域としても麻しんに対しての十分な免疫を持ち、感染・感染伝播のリスクを最小限に抑えることが重要である。
定期接種対象者(第 1 期定期接種対象者(1 歳児)、第 2 期定期接種対象者(小学校入学前 1 年間の幼児:今年度 6 歳になる者)においては、確実にワクチン接種を受け、また医療機関、児童福祉施設等及び学校等、空港等診断週 接種歴 保健所 性別 年齢 病型 診断日 遺伝子型の従事者は、過去に予防接種を 2 回受けていない場合や接種歴が不明な場合にはかかりつけ医などと相談のうえ、積極的な接種の検討が推奨される。
また集団としての免疫を持つことで、0 歳児や免疫機能の異常・抑制等でワクチンを接種することが出来ない人への感染伝播を防ぐことが重要である。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年7月4日更新)