今週の注目疾患   平成30年・19週(2018/5/7~2018/5/13 )

【麻しん】
千葉県では第 19 週に麻しんの届出はなかった。なお、5 月 15 日に県衛生研究所で麻しんウイルス検査を実施した 1 例において検査陽性となり、千葉県で本年最初の麻しん患者発生が確認された。
患者は 5 月 1 日にフィリピンから来日しており、沖縄県や国内の他の麻しん発生が報告されている地域への訪問歴はない。
1 患者概要
患者:20 歳代 男性
住所:印旛保健所管内(成田市)
予防接種歴:不明
2 経過
5 月 1 日:フィリピンから来日
5 月 12 日:発熱
5 月 13 日:発疹出現
5 月 14 日:印旛保健所管内医療機関受診
5 月 15 日:県衛生研究所における麻しんウイルス検査で陽性と確認
麻しんは空気感染により伝播し、感染力が強くマスクや手洗いのみで予防することは出来ない。
最も有効な予防法はワクチン接種であり、2回のワクチン接種により麻しんの発症リスクを最小限に抑えることが出来る。
麻しんは症状が出現する1日前から解熱後3日頃まで(全経過を通じて発熱がみとめられなかった場合、発疹出現後5日頃まで)他者への感染が成立する期間であり、典型例では10~12日の潜伏期を経て発熱やカタル症状が出現し(カタル期)、その後発疹が出現する(発疹期)。
発疹出現後3~4日続く発熱も回復期に入ると解熱し、症状は次第に改善する。
麻しんに対する一定の免疫はあるが、発症を抑えるのには十分でない場合などには潜伏期間が典型例より長くなることがある。
そして症状が出現しても微熱、発熱期間の短縮、限局的な発疹となり典型的な麻しんより軽い症状を呈し、これを 修 飾しゅうしょく麻しんと呼ぶ。
麻しんの感染力はカタル期が最も強く、症状出現時には必ず医療機関に事前連絡を入れ、指示に従い公共交通機関等の利用をさけて速やかに受診すること必要である。
麻しん感染・拡大防止のためには、一人一人の麻しんに対する免疫を強化していくことが重要であり、定期接種対象者(第1期定期接種対象者(1歳児)、第2期定期接種対象者(小学校入学前1年間の幼児:今年度6歳になる者)においては、早めに確実にワクチン接種を受けることが重要である。
過去に予防接種を2回受けていない場合や接種歴が不明な場合、また0歳児や妊婦など予防接種を受けることが出来ない人と接触する機会の多い保育所や医療機関の従事者、不特定多数の人と接触する職業に従事する場合には、かかりつけ医などと相談のうえ、積極的な接種の検討が推奨される。

【細菌性赤痢】
2018 年第 19 週に県内医療機関から 1 例の細菌性赤痢の届出があり、2018 年の累計は 6 例となった。6 例の(推定)感染地域については、国外(4 例)、国内(1 例)および不明(1 例)となっている。
推定感染地域が国外の 4 例については、その推定感染地域はタイ 1 例、フィリピン 1 例、パキスタン 1 例、タイ/ミャンマー/スリランカ 1 例であった。
全国では第 18 週の速報時点で 59 例の届出がある。
また国立感染症研究所感染症週報(IDWR)2018 年第 1~16 週によれば、2018 年はこれまでカンボジア、インド、エチオピア、スリランカ、
タイ、インドネシア、フィリピン、ボリビア、ミャンマー、パキスタン、バングラディッシュ、ペルーなどからの輸入例が報告されている。現在、細菌性赤痢の大半は輸入症例であり、汚染地域と考えられる国では、生もの、生水、氷などは飲食しない事が感染予防に重要である。一方で、細菌性赤痢は国内においても発生がある。
原因である Shigella 属菌には 4 菌種(S. dysenteriae、S. flexneri、 S. boydii、 S. sonnei)があり、国内例の多くは S. sonnei による。通常、S.
dysenteriae や S. flexneri は典型的な症状を起こす事が多く、S. sonnei の場合は軽度な下痢、あるいは無症状に経過することが多いといわれている。
2010~2018 年第 19 週に県内医療機関から届け出られた細菌性赤痢 78 例についてまとめると、女性 40 例、男性 38 例であり、年齢中央値は 31 歳(範囲 1~88 歳)であった。推定感染地域は国内 26 例(33.3%)、国外 51 例(65.4%)、不明 1 例(1.3%)であった。菌種は S. dysenteriae 2例、S. flexneri 23 例、S. boydii 2 例、S. sonnei 49 例、未記載 2 例であった。
推定感染地国内の 26 例の菌種は S. dysenteriae 1 例、S. flexneri 11 例、S. sonnei 14 例であった。
細菌性赤痢において感染成立に必要な菌量は 10~100 個と極めて少なく、家族内や施設内での 2 次感染には注意が必要であり、手洗いの励行といった基本的な経口感染予防の実践が重要である。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年5月16日更新)