今週の注目疾患   2021年 13週(2021/3/29~2021/4/4)
【今週の注目疾患】

【侵襲性肺炎球菌感染症 Invasive pneumococcal disease】
 侵襲性肺炎球菌感染症は2021年第12週~13週にかけて県内医療機関から4例届出があり、2021年の累計は9例となった。
性別は男性6例(67%)、女性3例(33%)と男性が多く、年代別では70代以上が5例(56%)、60代が2例(22%)と60歳以上の高齢者で多く報告があり、報告された9例はすべて40歳以上の成人症例であった。
症状別では肺炎症状を呈した者が5例(56%)、菌血症が2例(22%)認められ、うち1例は菌血症を伴う肺炎を発症していた。
また、髄膜炎を発症した者はいなかった。
死亡例は確認されていない。
県内の保健所管内別では松戸、安房、千葉市保健所管内でそれぞれ2例、印旛、海匝、柏市保健所管内でそれぞれ1例ずつ報告があった。
 当該感染症が2013年4月に感染症法に基づく五類感染症の全数把握疾患の対象となって以降、本県ではこれまでに累計912例の患者が報告されており、性別は男性555例(61%)で男性が多く、年代別では60代以上の高齢者が590例(65%)を占めていたが10歳未満の小児も159例(17%)報告されている。
 国の報告によると、侵襲性肺炎球菌感染症は、小児と高齢者の患者の報告数が多く、また発症する症状の特徴が異なることがわかっている。
小児では特に0歳~10歳の年代に多く患者が報告されている。1)
 2021年ではこれまでに小児症例は見られていないが、県の例年の発生状況では前述のとおり全体の17%の割合で報告されていることから、今後特に小児症例の発生動向を注視していくことが必要である。
また、当該感染症は約90種類の莢膜多糖体抗原に対する血清型の存在が知られており、海外では小児の7価および13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7、PCV13)導入後の血清型置換によってワクチン中に含有していない血清型による症例の増加が報告されている2)ため、病原体検査による血清型の特定や追跡も重要である。
 侵襲性肺炎球菌感染症は飛沫感染を主な経路として伝播する感染症であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と同様の感染対策が有効であると考えられることから、COVID-19の対策として推奨されている手指衛生の徹底やマスク着用、身体的距離の確保等などの感染対策の実施を心がけ、予防していくことが重要である。
 また、2014年10月より定期接種となった23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)の対象となる65歳以上の高齢者のワクチン接種率の向上のため、かかりつけ医等からの当該ワクチン接種の呼びかけ等を行うことが望まれる。

●侵襲性肺炎球菌感染症
鼻咽頭などに常在する肺炎球菌(Streptococcus pneumonia)によって発症する感染症で、通常は中耳炎や気管支炎、副鼻腔炎を含む呼吸器感染症の主要な原因菌であるが、血液や髄液に侵入して、菌血症や敗血症、菌血症を伴う肺炎など重篤な症状を引き起こすことがある。

≪引用・参考≫
1)感染症法に基づく侵襲性肺炎球菌感染症の届出状況, 2013年~2017年(国立感染症研究所)
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2)成人侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)症例の臨床像の特徴と原因菌の血清型分布の解析(国立感染症研究所 IASR)
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【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年4月7日更新)