2018年09月28日

今週の注目疾患   平成30年・38週(2018/9/17~2018/9/23)

【梅毒】
2018 年第 38 週に県内医療機関から 3 例の梅毒の届出を認め、2018 年の累計は 117 例となった。
県内における梅毒の届出は、2017 年に近 10 年で最も多くの届出があったが、2018年はそれを上回るペースの届出を認めている。
2018 年に届け出られた 117 例の内訳は以下である。
■ 性別
男性:83 例
女性:34 例
■年齢群
男性:10 代 2 例、20 代 14 例、30 代 23 例、40 代 23 例、50 代 11 例、60 代 7 例、70 代 2 例、80 代 1 例
女性:10 代 2 例、20 代 16 例、30 代 11 例、40 代 4 例、60 代 1 例
■病型
男性:早期顕症梅毒(Ⅰ期)26 例、早期顕症梅毒(Ⅱ期)21 例、晩期顕症梅毒 3 例、無症候 33 例
女性:早期顕症梅毒(Ⅰ期)4 例、早期顕症梅毒(Ⅱ期)14 例、無症候 16 例

■推定感性経路(重複あり)
男性:性的接触(性交)51 例、性的接触(経口)11 例、その他 9 例、不明 6 例性的接触(同性間)8 例、性的接触(異性間)51 例、性的接触(不明)7 例
女性:性的接触(性交)27 例、性的接触(経口)3 例、その他 3 例、不明 1 例性的接触(同性間)1 例、性的接触(異性間)29 例、性的接触(不明)2 例
男性は 20 代から 60 代の届出が多く、特に 30 代および 40 代が多い。女性は 20 代および30 代に多く、特に 20 代では男性よりも女性の届出の方が多い。
また、推定感染経路については異性間性的接触の届出が多い。
梅毒は感染後 3~6 週間程度の潜伏期を経て、経時的に様々な臨床症状が逐次出現するが、その間症状が軽快する時期があるため、治療開始の遅れにつながることがある。
一般的に、感染後約 3 週間後に病原体が進入した局所に、初期硬結、硬性下疳(潰瘍)が形成され、無痛性の所属リンパ節腫脹を伴うことがある。
これらの症状は数週間で軽快するが、症状が一旦消失したのち 4~10 週間の潜伏期を経て、今度は手掌・足底を含む全身に多彩な皮疹、粘膜疹、扁平コンジローマ、梅毒性脱毛等が出現する。
発熱、倦怠感等の全身症状に加え、泌尿器系、中枢神経系、筋骨格系の多彩な症状を呈することがある。
これらの症状も、数週間~数ヶ月で無治療でも症状は軽快するが、無治療の場合、約 1/3 で晩期梅毒症状が出現し、長期(数年~数十年)経過後に非特異的肉芽腫様病変(ゴム腫)、進行性の大動脈拡張を主体とする心血管梅毒、進行麻痺、脊髄癆等に代表される神経梅毒に進展する。
また、梅毒は罹患している母体から胎盤を通じて胎児に伝播されることがあり、先天梅毒発生のリスクがある。
梅毒の感染連鎖を防ぐため、感染が疑われる症状がみられた場合には、早期に医師の診断・治療を受ける必要がある。
コンドームの不適切な使用によるリスクの上昇や、オーラルセックスやアナルセックスでも感染すること、梅毒は終生免疫を得られず再感染すること、これら梅毒の特徴について注意が必要である。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年9月26日更新)