今週の注目疾患   令和元年・第 29 週(2019/7/15~2019/7/21 )

【梅毒】
 2019 年第 29 週に 1 例の梅毒の届出があり、2019 年(第 1~29 週)の累計は 82 例となった。
県内における梅毒の届出は、2016 年に前年比 60 例増と大きく増加した。
2016 年以降は年間 140~163 例の届出があり、2019 年もこれらの年と同程度のペースで届出が続いている。

梅毒は、原因である梅毒トレポネーマに感染すると、約 3 週間の潜伏期を経て、経時的に様々な臨床症状が逐次出現する。
その間症状が軽快する時期があり治療開始が遅れることにつながる。
梅毒は早期の薬物治療で完治が可能であるが、検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがある。
時に無症状になりながら進行するため、治療を途中でやめないこと、また完治しても感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要である。
<梅毒の症状>
・早期顕症梅毒(Ⅰ期:感染後約 3 週間):梅毒トレポネーマが進入した局所(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)にしこりや潰瘍が形成される。
鼠径部のリンパ節が腫れることもある。
無治療でも数週間で軽快するが、梅毒トレポネーマは体内から消失したわけではない。
・ 早期顕症梅毒(Ⅱ期:感染後数ヶ月):無治療のまま経過すると、梅毒トレポネーマは血行性に全身に移行し、手のひらや足の裏を含む全身に発疹が出現することがある。
発疹は治療をしなくても数週間以内に消える場合があるが、再発を繰り返すこともある。
ここでも抗菌薬で治療しない限り、梅毒トレポネーマは体内に残る。
・ 晩期顕症梅毒 :さらに無治療のまま経過すると、数年~数十年後の潜伏期間を経て、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)の発生や、心臓、血管や脳などの複数の臓器に病変が出現することがある。
妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがある(先天梅毒)。
<県内医療機関から 2019 年第 1 週~第 29 週に届け出られた 82 例について>
・性別
男性:55 例(67.1%)
女性:27 例(32.9%)
・年齢群
男性:20 代 8 例、30 代 14 例、40 代 14 例、50 代 6 例、60 代 7 例、70 歳以上 6 例
女性:10 代 3 例、20 代 12 例、30 代 4 例、40 代 5 例、50 代 1 例、70 歳以上 2 例
・病型
男性:早期顕症梅毒(Ⅰ期)14 例、早期顕症梅毒(Ⅱ期)17 例、晩期顕症梅毒 3 例、無症候 21 例
女性:早期顕症梅毒(Ⅰ期)5 例、早期顕症梅毒(Ⅱ期)10 例、無症候 12 例
・推定感染経路(記載のあったものについて:重複あり)
男性:性的接触(性交)34 例、性的接触(経口)7 例、性的接触(同性間)8 例、性的接触(異性間)29 例、性的接触(不明)4 例
女性:性的接触(性交)18 例、性的接触(経口)7 例、性的接触(異性間)22 例
男性は 20 代以降の幅広い年代において、女性は 20 代の届出が多い。
また、推定感染経路については異性間性的接触の届出が多かった。
梅毒は早期の薬物治療で完治が可能であり、早期に医師の診断・治療を受ける必要がある。
コンドームの不適切な使用によるリスクの上昇や、オーラルセックスやアナルセックスでも感染すること、梅毒は終生免疫を得られず再感染することなどの梅毒感染予防の注意点について、引き続き広く啓発をしていく必要がある。


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和元年7月24日更新)